カテゴリ:
平野啓一郎の『マチネの終わりに』、久し振りに心に響くような本を読んだ気がしています。


物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する国際ジャーナリストの洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人ですが、運命のいたずらで行き違いになり、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人ですが・・・。
バグダッド、パリ、ニューヨークと目まぐるしく舞台が転換し、その都市の風景や暮らす人々が物語に深みを与えています。また、世界中で繰り広げられている紛争や経済、人権問題なども織り込まれており、否応なしに読者はそれらの諸問題にも目を向けることになります。ただ、闇雲に問題を提起するのではなく、洗練された芸術観、人生観に裏打ちされて物語は展開します。知的で成熟した大人のラブストーリーといって過言ではなく、しかも静謐で丁寧な文章で書かれており、読み応えのある小説です。絶対に読んで欲しい一冊です。

主人公の一人がギタリストということもあり、文中に沢山の音楽作品が登場します。あたかも映像とともに音楽が聴こえてきそうな感じがするのですが、選曲のセンスが素晴らしく、物語に彩を添えています。一番多く登場するのがロドリーゴのアランフェス協奏曲で、この曲をお聴きいただきながら章ごとに登場する曲目を紹介したいと思います。先日紹介したファド歌手のアマリア・ロドリゲスが歌っています。



にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 函館情報へ