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昨年夏に発刊されて、とても印象深かった『君の膵臓をたべたい』を書かれた住野よるさんの新刊です。
夜になると化け物になる少年と、クラスメイトで苛められている少女の物語です。テーマは、高校という閉じた空間の中でのそれぞれの立ち位置に関わるもので、どこにでもありそうな問題が主題になっています。少年は昼は普通の高校生、しかし夜になると化け物に変身するのです。ただ、昼間の人間の姿をした彼はクラスに蔓延している苛めのルールに逆らうことが出来ないのですが、化け物に姿を変えると、自分の意思で行動し、彼女へも自分の本心を普通に話すことが出来るのです。

私達は誰しも世間や社会の一員として、取り巻く人間関係の中で生きています。往々にして自分の意思を押さえ、周囲に合わせることが生きる上では大切ということも知っています。しかし、その結果として周りの誰かを傷つけたということは時として経験したことがあると思います。
彼女は化け物の彼に「そっちが本当の姿なの?」と訊きます。本当にどちらが人間で、どちらが化け物なのでしょうね。狭い世界から逸脱しないことが大事と思いつつ、そのことに違和感を感じている若い方々にぜひ読んで欲しい一冊です。P20800031
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