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宮本輝の『草花たちの静かな誓い』を読み終えました。
物語は、米西海岸の超高級住宅街ランチョ・パロス・ヴァーデスというところが舞台です。叔母から40億円を超す莫大な遺産を相続することになった小畑弦矢という青年が、多くの人と出会いながら叔母の秘められた人生に迫るというちょっとミステリータッチの小説です。

薄紫のジャカランダの花が咲き誇るランチョ・パロス・ヴァーデスの輝くような景色が目の前に広がるようで、読んでいて心躍るような気持になっていました。ストーリーはちょっとシリアスなものなのですが、抜けるような青空と、アメリカ建国以前からその場所にあるようなジャカランダの巨木を見た主人公が感じたように、読む者は人間一人一人の来歴がどうでもよいような思いにさせられます。宇宙や植物などの長遠な時間を思う時、私たちの生きている時間はほんの一瞬なのでしょうから、そのように相対化して考えれば、どんな辛いことも悲しいことも少しは和らぐのかなと思ったりします。物語の最後は草花と心を交わす場面で終わるのですが、私もそんな経験をすることがあります。もう少しで北海道も芽吹きの時季を迎えます。明日にでも裏の林の木に声をかけてあげようかなと思ったりしているところです。
宮本輝さん、文章や物語の組み立てなどさすがに上手ですね。
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