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塩田武士の『罪の声』を読み終えました。
この本も星5個以上をつけてよいほどに読み応えのある素晴らしい小説でした。
主人公は、「グリコ・森永事件」(作中ではフィクションの形をとっているため「ギンガ・萬堂事件」)の特集を組むために再取材を命じられた阿久津英士という冴えない文化部の新聞記者。もう一人の主人公は、父の遺品の中に「グリコ・森永事件」で恐喝に使われた子供の声が録音されたテープを偶然発見する京都でテーラーを経営する曽根俊也という青年。俊也は、このテープに録音された声が自分の子供の頃の声と気づくことから物語が始まります。
前述のように物語の中では、グリコはギンガ、森永製菓は萬堂製菓となっていますし、犯人グループの「かい人21面相」は「くら魔天狗」という名前になっていますが、事件の発生日時、場所、犯人グループの脅迫・挑戦状の内容、その後の事件報道などは、殆ど史実通りに再現されています。
詳しく書きますとネタバレになってしまいますが、阿久津英士と曽根俊也の両者が別々とはいえ執りつかれたように真相に近づいていく構成が巧みで、息詰まるようなストーリーに釘付けになってしまいます。
幸いなことに、「グリコ・森永事件」では直接の犠牲者はいませんでしたが、毒入り菓子がばら撒かれたのは知っての通りです。また、何も知らずに脅迫メッセージを吹き込んだ罪のない子供が3人もいたことも事実ですし、彼らのその後の人生を狂わせてしまったことも許せないことと思います。
塩田さんの渾身の力作ですし、多くの方に読んで欲しい一冊です。

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