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2018年07月

『風は西から』 村山由佳

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村山由佳の『風は西から』を読み終えました。 

物語は幸せそうなカップルの日常から始まります。同じ大学のサークルで知り合い、夢と希望をもった、ごく普通の若者である藤井健介と伊東千秋がこの物語の主人公です。健介の両親は広島で居酒屋を営んでおり、彼は将来この店を継いで大きくしたいという夢を持っています。ノウハウを学ぼうと就職したのが、大手居酒屋チェーンの「山背」という会社です。この会社を創立した山岡誠一郎というカリスマ経営者に心酔するのですが、入社してみるととんでもないブラック企業だったのです。本社勤務から繁盛店の店長となると生活が一変することになります。度を超えたサービス残業など悪質な労働環境、さらに人格を否定するような吊し上げなどが常態化しています。数ヶ月後、心身ともに疲れ果てた彼は、正常な判断をする精神的な余裕さえ奪われて自死を選んでしまいます。
健介の死後、千秋は彼の両親とともに、このブラック企業「山背」から労災認定と謝罪を獲得すべく奔走することになります。3年9ヶ月にもおよぶ長い闘いでしたが、大切な恋人と最愛の息子を失った小さな個人の思いが、大企業ひいては社会をも動かす大きなうねりとなって広がり、最後には勝利を勝ち取ります。
あらためてブラック企業の悪辣さを思い知らされましたが、若者の過労死や自死の報道を見るたびに、これは氷山の一角なのだろうなと思ってしまいます。「電通」や「和民(※正式には子会社のワタミフードサービス)」での過労死問題を見るにつけ、東証一部上場にあるまじき企業体質と思ってしまいます。このところの異常気象もそうですが、日本いや世界はどうなっちゃったのでしょうね。
最後に吹く西からの風が千秋たちにとって心地いいものだったのが、せめてもの救いだったと思います。
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ブルーベリーの収穫が始まりました

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一週間ほど前からブルーベリーの収穫が始まっています。
我が家にはハイブッシュ系のいろいろな品種が10本ほどありますが、大小さまざま、味も微妙に違っていて、ブルーベリーは面白い果実だなと思っています。中には100円硬貨ほどに大きくなるものもあり、手にすると思わずエビス顔になります。
ブルーベリーは前述のハイブッシュ系とラビットアイ系があり、その土地の気候に合わせて品種を選べば、比較的簡単に誰でも栽培することが出来ます。不思議と病気や害虫に強く、殆ど手いらずで美味しい果実が沢山収穫できますので、おすすめの果樹と言ってよいでしょう。
生食でもジャムにしても最高に美味しいです。(^^♪
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そよ風が気持ちいい

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北海道も本州に負けないくらい暑い日が続いています。
今日も30℃くらいまで気温が上昇し、路面温度は50℃にもなっているかもしれません。この暑さに負けてはならないと思い、ほぼ連日50kmほどを走っています。自転車は止まると暑いですが、走っている分にはコンスタントに10m程度の風を受けていますので、意外と涼しくて気持ちがいいです。
いつも最後は道の駅「なないろななえ」に寄るのですが、夏休みに入って函館ナンバー以外の車も多くなり、家族連れなどで賑わってきました。
私の腕と脚は日毎に日に焼けて、若くて元気のいい自転車乗りのお兄ちゃんに負けないくらい黒くなりました。子供の頃の夏休み明けに日焼けの黒さを競ったことを思い出して可笑しくなっています。(^^♪
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グースベリーの収穫

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1cm程の小さな実のグースベリーを収穫しました。
子供の頃は殆どの家の庭先に植えてあり、子供たちの恰好のおやつでしたが、この頃はあまり見かけなくなりました。酸味が程よく効いて、とても美味しいジャムになります。
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ひっそりと静かな夏の大沼

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小学校が夏休みに入り、時期を同じくするように夏の日差しが眩しくなってきた北海道です。
風も弱いようですので、いつものように大沼湖へ繰り出してきました。駒ケ岳は少し靄に霞んでいますが、まずまずの天気です。夏休みに入っても、ここだけは静かで、別世界です。
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PMFアンサンブル 函館公演

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7月の一ヶ月間、札幌を舞台に繰り広げられるPMF(Pacific Music Festival)。その中の弦楽を主体にしたアンサンブルの演奏会がありましたので、聴いてきました。
この国際教育音楽祭を創設したのが、あのレナード・バーンスタインで、今年は生誕100年に当たるのだそうです。バーンスタインといえば、懐かしい「ウェスト・サイド物語」ですよね。

PMFは、オーディションで選ばれた世界各地から集まる若手音楽家の教育プログラム「PMFアカデミー」と、音楽を通じて彼らを指導する教授陣によって構成されています。とくにアカデミー生により構成される「PMFオーケストラ」は世界トップレベルと言われています。
今回の演奏会は、弦楽器のアカデミー生と、教授陣の中から前ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターだったライナー・キュッヒルがアンサンブルの一員として参加する豪華なコンサートでした。
演奏曲目は下記の通りです。
・モーツァルト:弦楽五重奏曲第4番 K.516
・サン=サーンス(イザイ編):ワリツ形式の練習曲によるカプリース 作品52-6
・プリホダ:「ばらの騎士」によるカプリース
・シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44

ライナー・キュッヒルさんは、2017年4月よりNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターを務めておりますし、奥様のキュッヒル真知子さんは日本の方ですよね。奥様は『青い目のヴァイオリニストとの結婚(新潮文庫)』という本も書いています。
ウィーンの薫りいっぱいのキュッヒルさんの超絶技巧と、弾けるような若手アカデミー生のアンサンブル、最高でした。(^^♪
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紫陽花だけが元気

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どんよりと曇って蒸し暑い日々が続いている北海道南部です。
菜園は雑草ばかり蔓延って、肝心の作物はあまり芳しくありません。そんな中でも紫陽花だけは元気で見頃を迎えています。北海道の紫陽花は例年ですと夏の終わりまで咲いているのですが、この蒸し暑さの感じでは早々に花が枯れてしまうのではと思います。本州ほどではありませんが、近年は北海道も結構暑いです。8月はもっと暑くなるのでしょうか。
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『ノーマンズランド』 誉田哲也

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誉田哲也の『ノーマンズランド』を読み終えました。

この本はシリーズになっているようで、いずれも姫川玲子という警察官が主人公です。現在は警視庁捜査一課殺人犯捜査係第十一係の主任警部補というのが肩書です。
ひとり暮らしの女子大生がマンションの部屋で扼殺されるという事件が起き、彼女が所轄の葛飾署の特別捜査本部に入り捜査を担当するというくだりから物語がスタートします。そして容疑者を逮捕するのですが、調べが進むにつれ20年前に埼玉県のある街で突然消えてしまった女子高校生の事件とリンクすることが分かり、思いもかけないような事実が浮かび上がってきます。

エンタメ小説かと思いきや、北朝鮮による拉致問題が絡んだり、さらには自衛隊や憲法議論にまで踏み込んでいますので、作者はこのへんのところに読者の眼を向けさせたかったのかなと思っています。戦争によって生じた空白地帯を「ノーマンズランド」と言うらしく、現在の日本は広い意味でのノーマンズランドに近い状態にあるのではと作者は考えているようです。きっと政治や外交が未熟ってことを言いたいのかも知れませんね。

北朝鮮の問題や政治的な議論を絡ませているのはタイムリーで、それなりに理解できるのですが、姫川玲子が大活躍するエンタメ風のこのシリーズに馴染むのかどうか、空回り感もあって個人的には疑問です。ちょっと消化不良気味で面白さが伝わってきませんでした。
《図書館からお借りしました》
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江戸下町の町人の生活から考える

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西日本の豪雨による災害の爪痕の凄まじさに息を呑んでいます。
そして学校の校庭や国道の片側車線などにうず高く積まれた災害ゴミ。倒壊や火災などのほか、悪臭や衛生面での心配も出てきているようです。家具や寝具、家電製品などが泥に浸かって廃棄するしかなく、やむなく投棄したものなのでしょう。各自治体のホームページを見ますと、クリーンセンターなどで受け入れているようですが、自治体の初動の遅れと手っ取り早くゴミを処理したいという住民心理が働いて、このようなことになったものと思われます。総量で100万トンにも達するといいますから凄い量です。
振り返って、仮に私の家が今回のように被災したら、不法とは知りつつも住民心理に負けて同様に投棄するかも知れません。それにしましても、これ程までの大量のゴミをどのように分別処理するのでしょう。前述の危険性がありますし、これからの豪雨や台風の襲来を考えますと、これらのゴミが2次災害を引き起こす可能性もありますので、出来るだけ早い対応が望まれます。

話は変わりますが、数年前に東京の江東区清澄白河にあります「深川江戸資料館」を訪れた際の町人の住む裏長屋(裏店)の様子を思い出しています。下の写真はその時のものですが、三味線や裁縫、手習いなどを教える師匠の「於し津(おしづ)」という女性の家を再現したものです。棟割長屋と割長屋というものがあるのですが、この家は後者で採光のとれる縁側があったりと棟割長屋に比べると比較的環境に恵まれた住居のようです。広さは4畳半程度、1畳半の土間が付いていて炊事などをするスペースになっています。「於し津」は恵まれた方なのかも知れませんが、家にある家財といえばご覧の程度のものです。当時、江戸の人口は100万人に達していたようですが、数年に一度は大火が発生し、そのつど着の身着のままの状態で逃げるのが通例のようになっていたとも聞きます。長屋は柱に綱を絡ませて綱引きの要領で引っ張ると倒れる程度の作りで、壊して延焼を食い止めるといった工夫を凝らしていたそうです。現在の江東区にある木場(きば)には建築用の木材が大量に備蓄されており、そんな背景があって町人は協力的な行動をとることが出来たのかも知れません。
いろいろな経験から多くのことを学び、災害に強い人創り、町造りをしていたようです。

物が溢れている我が家の現状を見つつ、あらためて江戸町人の暮らしぶりを振り返っているところです。毎日のようにネット通販やお店で買いあさり、同様に大量に廃棄している我が身に照らして、これでいいのだろうかなんて考えています。でも、どっぷりと近代文明の恩恵に浸りきっている我が身は、江戸の町人文化は憧れではあれど到底戻れるようには思われません。
あの大量の災害ゴミをみていますと、少しでも家の中の物を減らさなくてはとも思っているのですが・・・。
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リンゴ村にも初夏の風

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今日は曇りがちながら時おり陽の差すまずまずの天気でした。最高気温は24℃ほどですが、窓を全開にしても蒸し暑くて、扇風機はフル回転でした。岐阜の39℃なんて聞くと、道産子は恐怖さえ感じてしまいます。

リンゴがやっと下を向き始めました。果実の重さで下に垂れ下がるのか、重さには関係なく生育とともにおこる生理的な現象なのか分かりませんが、ともかくほぼ全員垂れ下がるようになりました。天候が不順で、まともに食べられるリンゴになるかどうか不安ですが、今のところは順調そうな感じです。

毎年こんなにも暑くなると、日本のリンゴ栽培の南限も北上してくるでしょうね。北海道以外ではリンゴ栽培が不可能なんて時代が来るのではないでしょうか。
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映画『万引き家族』

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やっと是枝監督の『万引き家族』を見てきました。
田舎の映画館はいつもガラガラなのですが、さすがにこの作品の集客力は凄く、ほぼ満席でした。
ストーリーと感想などはいろいろなところに沢山紹介されていますし、私があえて書くまでもありませんので簡単に・・・。

現代日本が抱える社会問題をこれでもかというくらいに提起した映画でした。私などは、これらの問題をあまり関わりのない対岸の出来事程度にしか捉えてきませんでしたので、ちょっとショックを受けています。貧困、格差、非正規雇用、虐待、ネグレクト、生活保護、独居老人、年金不正受給、JKビジネスなどなど・・・。
例えば貧困・・・。貧困家族と言ってしまえば簡単なのですが、貧しい時代を過ごしてきた団塊の世代の私でも、あれほどまでに汚い家での生活は経験をしたことがありません。現代の貧困というのは、それほどまでに生活の質を低下させていくものなのでしょう。貧困や格差の問題は、社会の秩序や安全とも関わってきますので、もう少し目を向けて行かなくてはと思っています。それにしましても、豪華客船での船旅や何とかトランスイートという列車に群がる人たちがいるかと思えば、対極にこのような底辺で暮らす人たちがいる、凄い時代になったものですね。

そして今回も家族のことを描いていましたね。家族の在り方がいろいろと多様化しているのに、いまだ血縁や旧来の家族関係に囚われて、それが絶対的な家族の絆と思い込んでいる私たち。東日本大震災が契機かどうか分かりませんが、近頃盛んに言われ出した「道徳教育」、血縁家族に負担を強いる「在宅介護」、そしていまだに議論の進まない「夫婦別姓」など、諸外国にくらべて家族に対する固定概念の意識が強いのかなと思っています。一部の政治家などはこの作品にあまり良い印象を持っていないようですし、対照的に欧州で絶賛されている様子をみても、家族を含めた共同体に対する考え方の違いが表出しているのかなと思ったりしています。
日本ももう少し緩やかなというか多様性があってもいいような気がしていますが、いかがでしょう。そんな家族の在り方を考えさせる映画でもありました。

それにしましても、リリー・フランキー、樹木希林、安藤サクラ、松岡茉優、そしてふたりの子役、いずれも惹き込まれるような名演が光っていましたね。
何とも複雑な心境なのですが、久しぶりにいい日本映画に出会ったような気になっています。
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やっと晴れました

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こんな青空を見たのは何日ぶりでしょう。久しぶりに良い天気になりました。

今日は仕事だったのですが、職場の窓から外を眺めてはお尻がムズムズしていました。
帰ってきてお昼を食べて、いそいそと自転車を引っ張り出し、いつもの函館新道・側道コースへ飛び出していきました。もう2週間ほど乗っていませんでしたので、日差しと風がとても気持ちが良かったです。40kmほど走って、最後は七飯の道の駅「なないろ・ななえ」でひと休みです。
また明日からは雨のようですね。
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雨ばかりですが、元気を出しましょう

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昨日は思い出したように晴れましたが、今日はまた雨空に逆戻りです。日照不足と高湿度で農作物にも影響が出始めているようです。我が家の菜園の野菜たちもヒョロヒョロと背丈ばかり伸びて、ちょっと期待薄の気配が立ち込めています。
野外でのアクティビティは、ここ2週間ほど殆ど出来ない状態ですので、家の中で悶々としている方も多いのではと思います。私たちは雨でも仕事のない日は河童のように泳いでおり、鬱陶しい天気はへっちゃらなのですが、さすがにそろそろ河童の皿(ハゲではありませんよ) を乾かしたいなと思っているところです。天気予報では、少なくとも今後1週間は頭の皿を乾かせないようですね。
体調管理に気を付けて、元気を出していきましょう。(^^♪
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『ピアノの森 PIANO BEST COLLECTION Ⅰ』

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NHK総合で放映されていた『ピアノの森』は、先週の日曜日で前半の12回が終了しましたが、皆さんご覧になっていましたでしょうか。ショパンコンクールでの一ノ瀬 海くんのピアノは凄かったですよね。後半の12回は来年の1月からスタートするようです。
そんなことで、コロンビアから『ピアノの森 PIANO BEST COLLECTION Ⅰ』というCDが発売になりました。番組では、短い抜粋しか聴けませんでしたので、ファンはこのCDを待ち焦がれていたと思います。本選で演奏する曲などで構成される『COLLECTION Ⅱ』は、後半が終了した時点で発売になるのではと思います。なお、当CDに収録されている曲目と演奏者は下記の通りです。

それにしましても、一ノ瀬 海くんのピアニストは誰なのでしょうね。(^^♪

そうそう、CD発売と同時にiTunesからもダウンロードできます。CDは3240円ですが、iTunesは2200円です。私はダウンロードしました。
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01. 海ヘ (TVアニメ「ピアノの森」オープニングテーマ) / 一ノ瀬 海
02. ベートーヴェン:エリーゼのために / 阿字野壮介(ピアノ:反田恭平)
03. ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1 「小犬のワルツ」/ 阿字野壮介(ピアノ:反田恭平)
04. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第2番 ヘ長調 K.280 〜第1楽章 / 一ノ瀬 海
05. リスト:「ラ・カンパネラ」 〜パガニーニ大練習曲集 第3曲 / 一ノ瀬 海
06. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 〜第1楽章 / 一ノ瀬 海
07. ショパン:エチュード ハ長調 作品10-1 / 一ノ瀬 海
08. ショパン:エチュード イ短調 作品10-2 / 一ノ瀬 海
09. ショパン:プレリュード 変ニ長調 作品28-15 「雨だれ」 / 一ノ瀬 海
10. ショパン:バラード第1番 ト短調 作品23 / 雨宮修平(ピアノ:高木竜馬)
11. ショパン:エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」 / パン・ウェイ(ピアノ:牛牛)
12. ショパン:エチュード 嬰ト短調 作品25-6 / パン・ウェイ(ピアノ:牛牛)
13. ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39 / パン・ウェイ(ピアノ:牛牛)
14. ショパン:エチュード ハ長調 作品10-7 / ソフィ・オルメッソン(ピアノ:ジュリエット・ジュルノー)
15. ショパン:エチュード ヘ長調 作品10-8 / レフ・シマノフスキ(ピアノ:シモン・ネーリング)
16. ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 作品52 / 一ノ瀬 海
17. ショパン:プレリュード ニ短調 作品28-24 / 一ノ瀬 海

『さざなみのよる』 木皿泉

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木皿泉の『さざなみのよる』。涙と鼻水でグショグショになりながらも一気読みです。
図書館からお借りした本なのですが、涙の粒が一滴くらいは落ちたかもしれません。鼻水はティッシュで鼻栓をしていましたので、大丈夫だと思います。(^^♪

2016年、2017年のお正月にNHK総合で新春ドラマとして放映された『富士ファミリー』をご覧になりご記憶の方は沢山おられると思います。2018年の今年は放映がありませんでしたね。そう、あのドラマの前というか後というか、ともかくドラマのシーンが目に映るような小説です。
しかも、この小説の主人公は小泉今日子が演じた幽霊のナスミが主人公で、彼女が癌に侵されて、今まさに死に向かう病床の様子から物語が始まります。そして、ナスミは静かに旅立っていきます。享年43歳でした。平凡ながら真っ直ぐに信念を通して生きてきたナスミですが、水面にポチャンと石が落ちた時に立つさざ波のように、生前に関わった人たちの心に彼女の思いが広がっていきます。
姉の鷹子や妹の月美、夫の日出男、そしてあの謎の笑子バアさんなど、周辺の人々の内面が丁寧に描かれているのは勿論ですが、ナスミの幼馴染とその妻、ボーイフレンドの妹、そしてかつての同僚など、彼女のことを大切に思い、思われた人たちとの思い出がさざ波のごとく綴られています。第1話から第14話まで泣いたり笑ったりの素敵なお話で凝縮されています。

そうそう、ナスミって名前のことですが、こっそり教えますね。このくらいネタバレしても大丈夫でしょう。もう43年も前の昔のことですが、彼女の父と母が、同居していた笑子バアさんに命名をお願いしたらしいのです。笑子バアさんによると、家族が営む古い商店が「富士ファミリー」、長女が「鷹子」、だから次は「ナスビ(茄子)」だろうということになったらしいのです。でも、当然のように両親は、「その名前では可哀そう」ということで、結果的に笑子バアさんがちょっと折れて「ナスミ」に落ち着いたようです。(笑)

それと、ドラマでは笑子バアさんだけが台所でナスミの幽霊と会って会話していますよね。あれにも秘密があるのですが、これを書いちゃうと叱られそうなので、止めておきます。後のストーリーと大きく関係しますので、ぜひ読んで「ああ、そうだったの」と思ってください。

「よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくすッ!」ってナスミの信条ですが、生きてれば沢山の出会いやいいことがありますし、また「生きとし生けるものが幸せでありますように」って思いつつ死んでいくのもそんなに悪くはないな・・・なんて思わせる物語です。
人はさりげなく生まれて死んでいき、しかしそのさざ波は周囲に波紋のように広がり、今ここにあることへの感謝と生きる希望を与える・・・そんなメッセージをナスミは残したような気がしています。

もう、「大人の教科書」にしても良いと思えるような一冊でした。あなたの涙の一滴もページに落としてみてください。本当にいい本でした。
2019年のお正月には『富士ファミリー』の放映があれば嬉しいなと思います。みんなで楽しみに待ちましょうね。(^^♪
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『青空と逃げる』 辻村深月

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辻村深月の『青空と逃げる』を読み終えたところです。
『かがみの孤城』で2018年本屋大賞を受賞した辻村さんの作品だけあって、読み応えのある素晴らしい一冊でした。

主人公は本条早苗という主婦とその息子で小学5年生の力(ちから)です。早苗の夫の拳(けん)とは、ともに都内の小さな劇団に所属していたことがあり、そこで知り合い結婚をしました。3人は平穏に暮らしていましたが、ある日の深夜、夫が乗っていた車が事故を起こしたと警察から連絡が入ります。その後の調べで、人気女優の遥山真輝の運転する車に一緒に乗っていたことが判明し、さらに悪いことに彼女は顔の怪我がもとで入院中に自殺してしまうという悲劇が続きます。遥山と拳のスキャンダルは連日、週刊誌やワイドショーを賑わせ、思わぬ形で事件の関係者になってしまった早苗と力は、真偽の定かでない情報と周囲からの悪意を避けるために東京を離れることを決めます。しかも東京を離れる前日には、力の部屋のクローゼットの中に大量の血に染まったバスタオルと包丁を偶然発見し、早苗は気が動転してしまいます。
様々な要素を載せた物語は、高知の四万十川、兵庫県の瀬戸内海に浮かぶ家島、大分の別府温泉、そして仙台、北海道の大空町へと舞台が移っていきます。遥山の関係者と思われる怪しい者たちの追跡から逃れる二人の逃避行はスリリングですが、行く先々で出会う人たちはいずれも善良で優しく、二人の身を案じて暖かく接してくれます。逃避行の旅でいろいろな人々や出来事に接することで、早苗が母親として日々強くなっていき、思春期の力も健やかに成長していきます。
物語は、早苗と力が交互に主人公になり進んでいきます。夫であり父である拳の行方は終盤まで分からず、また事件の真相も同様に謎に包まれたままの、ちょっぴりミステリー的な要素も絡んで物語は佳境に向かっていきます。そして、最後は感動の結末が待っているのですが、それは読んでのお楽しみということで。
家族の絆、人の優しさを実感できるところが辻村作品に共通する素晴らしさなのかなと思っています。
《図書館からお借りしました》
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『スイート・ホーム』 原田マハ

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原田マハの『スイート・ホーム』。今まで読んだ作品とは少し趣きが違いますが、ほっこりと温かくなる感じの短編集で、まあまあ良かったと思います。

作品の舞台は、宝塚歌劇団で知られる宝塚にほど近い閑静な住宅街にある「スイート・ホーム」という洋菓子店です。玄関脇にはキンモクセイの木があり、小さな花が咲く秋にはキンモクセイと洋菓子の甘い香りとまじりあって、何とも素敵な空間というか雰囲気を醸し出しています。このお店は表題作の『スイート・ホーム』で主人公として登場する香田陽皆(ひな)の父親がパティシエをしています。家族は職人気質で気の優しい父と自称「看板娘」の母、そして年頃に育った陽皆と妹の晴日(はるひ)の美人姉妹です。宝石のような輝きと、温かみの溢れるスイーツ、そして丁寧な接客が評判を呼んで、地元の超人気店になっています。
香田一家の何気ない日々の暮らしを縦糸に、そしてこのお店を訪れる常連さんとの語らいや姉妹の恋人達との遣り取りを横糸に、それぞれの短編が暖かい視線で丁寧に描かれています。香田一家はもちろんのこと、登場人物のすべての人がいい人で、そして物語の最初から最後までひとつの翳りもない夢のような幸福な風景で彩られています。

読後感は冒頭の感想のように、まあまあいい本なのですが・・・
こんな幸せな日々を過ごしてみたいなと思う反面、こんなお伽話のようなハッピーな生活なんてあり得ないから小説になっているんだという邪念が頭をもたげてきます。甘ったるいスイーツ風の生活ばかりでは食傷気味になるでしょうし、たまには塩辛い煎餅を食べるような生活も交えたほうがいいのではと、臍曲がりのお爺さんは思うのであります。(笑)

そんなことを思って巻末を見ましたら、関西方面の不動産会社のホームページに書き下ろされた小説であるらしいことが分かり、「なるほどねぇ」と頷いてしまいました。確かに、こんな人たちと楽しく超ハッピーな暮らしが待っているなら、この街に住みたいと思う人がいるかもしれませんね。
この手の本がお好きな方は、お読みになってみてください。
《図書館からお借りしました》
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今日も雨・・・

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昨日は少し持ち直したと思ったら今日も雨です。おまけに蒸し暑くて、今頃の北海道とは思えない天気が続いています。天気予報では、明後日には台風がやってくるようですし、これからの1週間も雨模様の天気が続くようです。農作物への影響も心配になってきましたね。
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『青くて痛くて脆い』 住野よる

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住野よるの『青くて痛くて脆い』を読み終えました。
『君の膵臓をたべたい』と同様に、お爺さんからするとちょっと青臭いお話なのですが、若者の細かい心理描写が見事で、なかなかいい本でした。

ドライで現実主義的な大学一年生の「僕」こと田端楓が主人公です。彼の信条は、〈人に不用意に近付きすぎないことと、誰かの意見に反する意見を出来るだけ口に出さないこと〉と決めています。そんな引っ込み思案というか積極性に欠ける性格ゆえに入学当初から孤独な日々を送っています。しかし、講義中に理想論を振りかざして周囲を驚かせる同級生の秋好寿乃とひょんなことから仲良くなります。二人は意気投合して、秘密結社のような「モアイ」というサークルを立ち上げます。活動目的は「四年間で、なりたい自分になる」というものでしたが、発足から2年半後には理想からは大きく掛け離れた巨大な就活サークルになってしまいます。そんなサークルに嫌気がさして楓は去っていくのですが、暫くして就活も終え卒業を待つばかりになった頃に、理想に燃えて創立したサークルへの思いが再燃してきます。そして、思いもしないような手段でサークル執行部へ戦いを挑むことになります。
ここまでが前半部までのあらすじですが、読みどころは後半部です。登場人物の心理描写、刻々と変化するお互いの距離感など、静かなタッチですが、読み応えがあります。

キラキラと輝き、いろいろなことに傷つき、そして後悔の連続だった・・・そんな青春時代のあなたをこの小説の中に見出すかもしれません。まさに「青くて」「痛くて」「脆い」青春の一頁を思い出させるいい本でした。本屋大賞にノミネートされるといいなと思っています。
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もう少しでジューンベリーの収穫

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今日は天気予報に反して、比較的良い天気でした。一時的に梅雨前線が北の方へ押しやられたのかも知れません。それにしましても暑い一日でした。

ジューンベリーが色づいてきました。ヒヨドリなどが盛んにやってきて啄んでいますから、そろそろ熟期かなと思っていました。まだ鮮紅色ですが、もう少しして暗赤色になれば食べ頃です。小さな果実で手摘みが大変ですが、頑張って収穫してジャムとペーストにしようと思っています。
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えりもの森訴訟 -「自然の権利」基金-

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特定の組織の会員になることはあまりないのですが、名古屋に本部を置く「自然の権利」基金という会だけは20年以上前から会員を続けています。会員と言いましても会費を払っているだけなのですが、きっかけは1995年の奄美大島のアマミノクロウサギに纏わる裁判でした。

事の発端は、1995年に奄美大島での大規模なゴルフ場建設に反対する住民たちが、林地開発許可処分の取り消しなどを求めて、鹿児島地裁に提訴したことに始まります。この訴訟は、日本で初めて動物たち(アマミノクロウサギ・オオトラツグミ・アマミヤマシギ・ルリカケス)を原告にしたことで、非常に注目されました。当時は観光開発が盛んで、奄美大島にも多くのゴルフ場の造成が計画され、アマミノクロウサギなどの絶滅危惧種の生息域にもその波は押し寄せてきました。
ただ、動物は裁判の当事者になることは出来ませんので、当然のように鹿児島地裁は提訴から1ヵ月後に訴状を却下しました。その後、住民たちが動物たちに代わって訴訟を起こし裁判が開かれましたが、地裁は住民たちの原告適格を否定し訴えを却下しました。
住民からすれば地裁の判決は予想の範囲内だったと思われます。そして、天然記念物や絶滅危惧種に指定された奄美の固有種であるアマミノクロウサギたちを裁判の上では守れなかったものの、現行法のもとでは自然環境を保護することの困難さやその限界などを、世間の人たちに知ってもらえたことなどで一定の成果はあったと感じていました。同時に「自然の権利」を広める運動も同時並行で展開され、各地の自然保護活動の一環として今も続いています。

そんな、「自然の権利」基金の今月号の会報に表題の「えりもの森訴訟」のことが載っていました。2004年、北海道が日高管内えりも町の道有林で違法伐採を行ったものですが、この行為に対し札幌の市川弁護士ら3人が道財産に損害を与えたとして、日高振興局長(旧支庁長)を相手取って訴えたものです。
会報に掲載された市川弁護士の投稿は小さくて読みにくいと思いますので、テキストとして再掲載させていただきます。

《えりもの森訴訟》
 すでに、ご報告しているとおり 、この訴訟は、保安林指定されている天然林を違法に伐採したことを理由とする住民訴訟です。裁判は13年目に突入し 、最終段階に入りました 。
 損害賠償の相手方は、支庁長と森林つくリセンター長です。支庁長というのはなじみがない人も多いかと思いますが、北海道は広いため全道が10近い支庁に分かれていました。一つの支庁管内は県程度の広さがあります。支庁長は知事から全委任を受けていますから 、知事の代わりといったところです。
 証人尋間では、支庁長は具体的な職員の指揮監督などはしていないことを自白しました。指揮監督などはしていなければ責任もないという立場です。しかし保安林内の越境伐採や過剰伐採を問題にしているのですから 、保安林規定上はかなりの指揮監督権限があります。
 最終盤では、このような具体的な支庁長や森林つくりセンター長の職務義務とその違反の有無が争点となりました。
 裁判所は、事実整理をほぼ終了し、原被告の双方に示しています。事実整理はほぼ良いのですが、裁判所がどのような認定をしていくのか、注目です。裁判所は、二度と差戻しにならないようにと慎重な態度をとっています。
 ところで、このえりもの森訴訟を提訴してからえりもの森林はどうなったかについてご報告いたします。提訴当時は、周辺一帯が広く伐採の予定でした。大規模林道計画も近くにあったため、えりも地域はかなり皆伐されるところでした。しかしこの裁判が提訴されて以来、全く伐採されなくなりました。林道は自動車も通行できないくらいに至るところが通行不能になっており、道職員はおろか林業関係者も山に入っていないことが歴然としています。山は、ヒグマ、エゾシカ、コウモリ、ナキウサギ、オオワシ、オジロワシなどが自由に行き来し、サクラソウやクリンソウなど様々な花が今を盛りとばかりに咲き乱れています。
 これだけを見ても、訴訟を起こして良かった、と思っていますが、さらに勝訴を目指して頑張りたいと思います。
(文)えりもの森訴訟弁護団 弁護士 市川守弘

「自然の権利」基金では、沖縄のジュゴンや辺野古、大浦湾の自然を守るための活動も行っていますので、興味のある方やご賛同いただける方は、同基金へお問い合わせくださればと思います。
一般会員の年会費は3000円です。「自然の権利」基金のホームページはこちらです。
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大雨にガックリ・・・

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今日も朝から強い雨になっています。
表題のように今頃は『せたなライド2018』で、せたな町を自転車で走っている最中のはずなのですが、この大雨で出場を諦めてしまいました。
エントリーしていたロングの107kmから変更して、せめてミドルの50kmだけでも走りたかったのですが、この雨の降り方では致し方ないかなと思っています。昨日からいろいろと準備をして早朝に出かける予定だっただけにガックリです。気温が高いですから身体は濡れても大丈夫ですが、雨後のバイクのメンテナンスのことを考えると仕方がないと自分に言い聞かせています。(^^♪
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