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原田マハの『暗幕のゲルニカ』が未読でしたが、やっと読み終えることが出来ました。 
物語は1937年4月29日のパリにあるピカソのアトリエ兼住居から始まります。ピカソの愛人で「泣く女」など多くの名画のモデルをつとめた写真家のドラ・マールの視点で「ゲルニカ」誕生のドラマとその後の数奇な運命が描かれていきます。ご存知のように「ゲルニカ」は、パリ万国博覧会のスペイン館のために内戦のさなかにあるスペイン共和国政府の依頼を受けて製作されたもので、バスク地方の小都市ゲルニカでの空爆の惨状を縦横350x780cmの巨大なキャンバスに描いたものです。
物語は並行して二機の旅客機によるテロが起きた2001年9月11日のニューヨークへと飛びます。このテロで夫を失ったピカソ研究者でニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター、八神瑤子がもう一人の主人公です。
「ゲルニカ」という作品が、20世紀の第二次大戦のさなかに起きたゲルニカ空爆と、イラク戦争の契機となった9・11テロの悲劇をつなげていきます。ピカソや彼を取り巻く人たちの「ゲルニカ」に対する思いと、同時に八神瑤子が企画するピカソ展に纏わる「ゲルニカ」をめぐる策謀が読みどころです。後者の部分は米国大統領や国務長官が架空の名前に置き換えられていますが、ノンフィクションとフィクションが絶妙に絡み合い、最後のクライマックスに近づくにつれ息詰まるような展開になります。骨太の小説で面白かったです。
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