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このバケットはご贔屓の七飯のパン屋さんのものですが、とても美味しくてよく買ってきます。ここのパン屋さんだけではなく、どこで買っても日本のパンは美味しいですよね。

話は飛びますが、私は24~25歳にかけての1年余りスイスのジュネーヴに住んでいました。もう40年以上も前のことですので、ほとんど記憶が薄れかかってきているのですが、スイスのパンの不味さだけは忘れることは出来ません。半年くらい経ってジュネーヴでの生活に馴れた頃、パリに遊びに行った際に食べたパンの美味しさに感激したことを憶えています。スイスのパンは一切れ食べただけでギブアップでしたが、フランスのパンは何もつけずにいくらでも食べれる感じでした。
下宿のマダムが話すのには、スイスは小麦粉を1~2年ほど備蓄していて、古いのから順次放出しているのでパンが美味しくないということでした。きっかけは第一時世界大戦の時にドイツによって国境が封鎖され、食料輸入がストップして深刻な食料難に陥ったことにあるらしいのです。

時を経て、現在のスイスはどうなっているのか調べてみました。私が帰った後の1982年に「国家経済物資供給に関する連邦法」というものが公布されたようで、一歩進んだ食料の備蓄政策が始まったようです。戦争や自然災害・事故・経済危機等の緊急事態を想定して、国民一人当たりの食料供給目標を2,300kcal/日とし、小麦粉・米・砂糖・食用油・飼料等を、全国民の平均6ヶ月分を備蓄するというものです。連邦政府と民間企業による備蓄だけでなく、家庭でも小麦・砂糖・食用油等の基本的な食料品を2ヶ月分備蓄することを奨励しているそうです。

現在のスイスの自給率は日本よりも高い50~60%程度らしいですが、それでも完璧なまでの国家安全保障政策が行きわたっているような気がします。さらに国民の命と直結する農地を守る政策の結果、スイスのアルプス山岳地帯の景観は放牧によって保全され、それがスイスの観光収入の増加につながっているのはご存知の通りです。日本では国民の生命を守るための農地が次々と放棄され、国民の生命が担保できなくなって来ているのは自給率の低下とともに気掛かりなことです。

美味しいバケットを食べながら、国の安全保障政策や農地保全の問題とともに少しは家庭での備蓄も考えなくてはと思っているところです。そうそう、現在のスイスのパンは製パン技術が進んでおり、周辺国と同様に美味しくなっているそうです。(^^♪
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