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寒いですし天気が芳しくありませんので、こんな日は本を読むのが一番ですね。そんなことで先日から読んでいた貫井徳郎の『宿命と真実の炎』を読み終えました。

幼い日に父親が絡んだ警察沙汰で離れ離れになった誠也とレイという義兄(妹)が一方(犯罪者側)の主人公として物語は進んでいきます。大人になって再会したふたりは、警察への復讐を誓い、警察官の連続殺人事件を遂行します。当初、事故や自殺と思われていた連続殺人事件ですが、古い体質の警察組織に翻弄されながらも真実を追い求める女刑事・高城理那と、かつては名探偵とまで言われながらもスキャンダルで警察を追われた西條という男の機微に富んだ推理によって徐々に謎が解かれていきます。
幼い頃に誠也とレイに降りかかった衝撃の出来事、それに対する後悔と贖罪、そして復讐へと向かう内面の心の動きが丁寧に綴られていて、怖いというか凄いです。
犯人者の心理と事件を追う警察の推理が複雑に絡み合い、それが最後は一本の糸で結ばれるという、とても読み応えのある小説でした。
PB050002