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装丁がとても綺麗で手にした一冊、辻村深月の『かがみの孤城』。
読み進めるほどに頁を捲る指が前へ前へと早まり、まさに一気読みでした。ほとんど予備知識のない一冊でしたが、今年読んだ中では三本の指に入れたいというか、星5個つけても良いほどに感銘を受けました。ファンタジーミステリーとしての構成がとても巧みですし、なにより辻村さんのリズミカルな文章が読むほどに心地よさを感じさせます。

物語の主人公は中学一年生「こころ」です。ある出来事をきっかけに学校へ行けなくなり、いつも家で過ごしています。ある日、部屋の鏡が突然輝き始め、潜り抜けてみると、そこはお城のような不思議な建物の中でした。そこには「こころ」を含め、似た境遇にあるらしい中学生が7人集められていました。このお城の主は、狼の面をつけた少女(オオカミさま)です。彼女が取り仕切るお城は9時から17時までの間であれば現実世界との出入りは自由ですが、お城にいられるのは1年間だけという期限が定められています。そんな彼らには隠された鍵を探し出すという課題が与えられます。

こんなお話で前半部は過ぎていきます。思春期の自分もそんなことで傷ついていたなぁとか、傷つけていたなぁなんて思わせる・・・辻村さんの細かい心の揺れ動きの描写が素晴らしいです。

そして後半部。一転してミステリーの要素が絡んで物語は佳境に達します。もうこれ以上お話しすることは出来ませんので、小説をぜひお読みになってください。個人的ですが、来年の「本屋大賞」にノミネートされる一冊と思っています。出来れば、大賞を取って欲しいなとも思っています。
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