カテゴリ:
今年の第157回直木賞を受賞した佐藤正午の『月の満ち欠け』を読み終えました。
月が満ちて欠けるように、生と死を繰り返す「生まれ変わり」をテーマにした作品です。前世を記憶する瑠璃と名付けられた女の子の話で、前世でそれぞれが関わった3人の男性への恋心から何度も生まれ変わります。輪廻転生というとても不思議なお話なのですが、妙に説得力のある内容で、背筋がぞっとするような不気味さとミステリー的な面白さをも兼ね備えている小説です。感動的なラストシーンへの落としどころの上手さはさすがに熟練した直木賞作家の文章力に拠るものと思いました。
IMG_2251