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1月2日にNHK総合(21:00~)で放映された『富士ファミリー』、大好きな木皿泉の脚本ですから、ドラマ開始の時を楽しみに待っていました。

富士山が大きくそびえる山麓のコンビニ『富士ファミリー』、コンビニとは名ばかりで、入るのを躊躇うほどのおんぼろのお店です。惚けているのではと思うような笑子バアさん(片桐はいり)が店番をしているシーンからスタートです。このお店には評判の美人三姉妹がいて、長女の鷹子(薬師丸ひろ子)は一家を切り盛りする大黒柱、次女のナスミ(小泉今日子)は夫の日出男(吉岡秀隆)を残して病気で亡くなってしまい、三女の月美(ミムラ)は面倒なことに関わりたくないとさっさと嫁いでいました。
そんなある日、笑子バアさんの前に亡霊となったナスミが現れ、服にしまい込んだメモを見つけて欲しいと言います。このメモには、ケーキ、懐中電灯、四葉のクローバー、光太郎、ストローなど脈絡のない言葉が書かれているのですが、それが物語を思わぬ方向へ導くきっかけになります。
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トラックの荷台から振り落とされトンネルの中で一人たたずむ介護ロボットのマツコロイド。「私は介護されるためだけに作られ、ここにいます。作った目的は製作者に聞いて下さい」と。自分の居場所を失っていた笑子バアさんは、「皆の足手まといになるこんな私でも生きてていいの」と訊きます。「生きる価値とかそんなものより、ここにいることが重要なのではないかしら」と応えるマツコロイド。いい場面です。
マツコロイドは今回がドラマ初出演だそうで、メーキャップや台詞の打ち合わせなど本番前から緊張していたそうです。てなことないですね。(笑)
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富士山は私たちが生まれるずっと前から悠然と聳えていて、生きてるときはいつも見守ってくれ、そして死んでからも何事もなかったように変わらずに聳えている・・・そんな富士山から元気を貰い、励まされる『富士ファミリー』です。店の名前は勿論のこと、牛乳瓶、お菓子のシールなどいろいろなところに富士山が登場します。
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そして最後は、皆で初詣。背後には亡霊のナスミがピースサインを送っています。
世の中の人や物、そして諸々の出来事にはすべて何らかの役割や目的があり、必要でないものは何一つないという優しくおおらかな木皿泉さんのメッセージが込められているようなドラマでした。楽しいけどどこか哀しく、哀しいけどどこか笑わせる・・・お正月に相応しく、三段重箱から溢れるような素敵なドラマでした。
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あぁ、そうそう。笑子バアさんの当たった「ストロー」。人型の紙縒り(こより)にストローで水をかける遊び、私も子供の頃によくやりました。笑子バアさんが男と女の人型紙縒りが妖しく絡まる上から水をかけると、妙に艶めかしい動きをするシーン。大笑いしてしまいました。やけくそになってストローから水滴を落とす笑子バアさんの横顔、最高でした。

※写真はすべてNHK総合で放映された『富士ファミリー』の画面を撮影したものです。

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