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藩民から今望さまと呼ばれるほどに愛されていた大殿・成興(藩主・重興の父)が、善悪の見極めに長けた馬に嫌われるという不吉な兆候を告げたところで終わった『この世の春』の上巻。それに続く下巻も上巻に勝るとも劣らない複雑な筋立てと息をもつかせぬ展開で、物語にのめり込んでしまいました。

詳しいネタバレを書きますとあとで読まれる方の迷惑になりますので控えますが、私たち人間の心の奥底に横たわる暗闇の部分を書かせたら、宮部みゆきさんの右に出る方はおられないような気がします。そして、同時に人間の心の優しさ愛の深さの描写も見事ですね。まさに最後は「この世の春」です。
強さも弱さも、賢さも愚かさも持っている人間が生み出す物語だからこそ、素晴らしかったり恐ろしかったりするのでしょう。
上下巻とも少しボリュームがありますが、おすすめの一冊です。PC200017