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大沢在昌の『俺はエージェント』を読んでみました。
装丁の面白そうな絵と題名、そして帯の「007になりたい俺と時代遅れの老兵たちの決死の大作戦」という言葉に惹かれて読み始めたのですが、私にはちょっと期待外れの一冊でした。

1960年代の東西冷戦を背景にしたジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズ。それに続く二番煎じともいえるB級スパイ小説好きが高じてエージェント(工作員ないし諜報員の意)に憧れる三十間近いフリーターの村井という青年が主人公です。行きつけの大衆居酒屋で常連客の白川というお爺さんと自称・推理作家の大西という男らと一緒にスパイ談議に花を咲かせていると、白川に一本の電話がかかってきます。その電話によって主人公・村井の平凡な日常は終わりを告げることになります。それは23年ぶりに復活した「コベナント」という極秘ミッションの発動だったのです。
村井と白井という40以上も歳の差のある迷コンビが、このミッションによって本格的な工作・諜報の世界に投げ込まれ、次々と襲いくる陰謀や危機に立ち向かっていきます。全体に登場人物などからしてユーモラスで漫画チックなのですが、現代の複雑にして混沌とした世界情勢と日本の世相の捉え方は真面目で的確であり、彼らシークレット・エージェントの活躍が何となくすんなりと受け入れられるのですから不思議です。ただ、最後まで誰が味方なのか敵なのか判然としない500頁超の長編、少し読み疲れの否めない一冊でした。
《図書館からお借りしました》
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