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小林由香の『罪人(つみびと)が祈るとき』。これも星4つ半くらい付けたいほどに読み応えのあるいい本でした。
物語の主人公は親から見捨てられ、親友にも裏切られ、そして学校では謂れのない虐めを受ける高校生の時田祥平です。つくづくこの世が嫌になり、いじめの張本人を殺して自分も死のうと覚悟を決めます。そんな折に彼の前に不思議なピエロが現れて、彼の殺人計画を手伝ってやると申し出るのです。
もう一人の主人公は風見という会社員です。中学生の息子を虐めで亡くし、その事件が切っ掛けで精神の安定を欠いた妻も1年後に自ら命を絶つことになります。やるせない気持ちを抱えた風見はもぬけの殻のようになるのですが、あることを切っ掛けに犯人探しをはじめることになります。
二つはまったく別の事件なのですが、あるところで結びつくことになります。あとは作品をお読みになってみてください。頁を捲る手が急かせられるような気持になること間違いなしです。
テーマは復讐の連鎖と思いますが、ただネガティブなスパイラルばかりを捉えているわけではなく、それ以上に善の連鎖をも取り上げているところが作品の素晴らしいところです。小林由香さんの2作目になるヒューマン・ミステリーをぜひお読みになってみてください。
本屋大賞にノミネートされることを祈っています。
《図書館からお借りしました》
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