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せっかくの日曜日、あいにくの雨模様です。こんな日は映画が一番ということで、『ロング・ロング・バケーション』を観てきました。

高齢のカップルがキャンピングカーで旅をする、こんなフレーズのパンフレットを見るとあたかも今を流行りの「終活」かなと思ったのですが、いやいやまったくそんなものではなく、ユーモアたっぷりの夫婦の愛を描ききった最高にゴキゲンな作品でした。

物語の主人公は、アルツハイマーが進行して過去と現在が気ままに行き来する夫で元文学教師のジョン。もう一人は、末期の結腸癌で余命いくばくもない妻のエラです。二人とも周りがすすめる病院や施設なんて真っ平ごめんと公言しています。子供たちは巣立って幸福な家庭を築いていますし、もう思い残すことはないと、二人でジョンが敬愛するヘミングウェイの家があるフロリダのキーウェストを目指すことにします。ジャニス・ジョプリンやキャロル・キングなどご機嫌な音楽を聴きながら、愛用してきた年代物のキャンピングカー「レジャー・シーカー」に乗り、軽快に南を目指していくのです。毎晩、思い出のスライドを小さなスクリーンに投影して、これまでの過去を追懐しつつ、旅はユーモラスに、時にハプニングを交えて進んでいきます。美しい風景が車窓を流れ、時と場所でシチュエーションが変化していくロードムービーに、青春モノを思わせるような爽やかなラブストーリーが重なります。
二人が夢見たキーウェストのヘミングウェイの家は、想像していたよりも賑やかなテーマパークになっており、ちょっぴり落胆するのですが、それ以上に夫婦水入らずで最後の旅を続けられた充実感に満ち溢れていたことは言うまでもありません。そして、美しいフロリダの浜辺で、楽しかった思い出を胸に、「レジャー・シーカー」とともに静かに天国へと二人は旅立って行きます。
監督のパオロ・ビルツィは本作のテーマを「最後の瞬間まで自分の人生を選ぶという問題に対してどう行動するか」だと述べていますが、もろ手をあげて賛同したいと思います。
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