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木皿泉の『6粒と半分のお米』、読み終えると肩の力がすぅーっと抜けるようで心地よかったです。神戸新聞やいろいろな雑誌へ書かれたエッセイや対談、そして文芸誌の解説、書評、映画評と盛りだくさんですが、いずれも先日のテレビドラマ『富士ファミリー』で観たような、ふんわりと暖かい真綿で包まれたような気持になります。

巻末というか終わりに2014年3月に放送されたNHK FMシアター『どこかで家族』の全シナリオが掲載されています。東日本大震災で罹災し離散した家族4人の物語です。母と息子は愛媛へ、父と娘は地元に残って暮らしを立て直そうとします。当初は、一時的に離れるだけのつもりだったのが、日常に追われ元どおりになるきっかけを失ったまま時間だけが過ぎていきます。それから9年後の2020年、東京オリンピックを機に一家は再会を果たします。
オリンピックのバスケットの試合を4人で観戦しているシーン。実際にゲームをしている時に広く感じたコートが外から見ると意外と小さいことに驚きます。
「中にいる人と、外にいる人って、コートのラインが全然違うように見えるんだよね」と言い合う4人、家族もコートと一緒だということに気付きます。「一緒に住むことが家族なんてよぉ、それは外から見てるヤツが言うことでよぉ、中にいるほうは必死で、ラインなんて、どこにあろうが、もうどうだっていいべな」と言って安心します。4人は家族の深い絆を確認して、それぞれの元の日常へと戻っていくというドラマです。どこか寅さんの映画のようで、木皿さんの家族を見る目がいいですね。
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