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東野圭吾の『魔力の胎動』を読み終えたところです。 
映画になっている『ラプラスの魔女』の前日譚とのことです。前作を読んでから2年半も経っていますので、どんな内容だったか忘れていましたが、不思議な能力を持つ少女・羽原円華の名前を目にして、あらすじを思い出しました。

本書は5つの短編からなっています。前日譚ということで、前書のストーリーに向かって遡る形になっていますが、人物の登場時期と合わせますと、すべてが過去の物語ではなく、各章が前作と入り乱れているようです。前作と合わせて読まれると、より面白いかも知れません。
ちょっとネタバレをしますと・・・

・「第一章 あの風に向かって翔べ」
ベテランスキージャンパーの坂屋は鍼灸師のナユタの患者です。近頃の坂屋は思うような結果が出せず、幼い息子に胸を張って自分の職業を言えないでいます。ひょんなことから坂屋の手伝いをすることになった円華。彼女の不思議な能力で坂屋の復帰を目論みます。
・「第二章 この手で魔球を」
同じくナユタの治療を受けているプロ野球選手の石黒。彼はナックルボーラーとして球界から重宝されていますが、受け手の捕手が膝を故障し引退を決めるのです。そこで後継として山東を指名するのですが、ある試合で捕り損ねて以来、まったく捕れなくなってしまいます。ここでも円華がある作戦を立てて、彼の立ち直りを試みます。
・「第三章 その流れの行方は」
ある日、ナユタと高校の同級生の脇谷が恩師・石部のもとに挨拶に伺います。そこで、石部の息子が水難事故によって植物状態になり入院していることを知ります。しかも、事故の原因にも訳がありそうなのです。さらに石部の息子は偶然にも円華の父で脳神経外科医師として勤務する開明大学に入院しているのです。混迷を深める石部親子。そんな親子のために円華は一肌脱ぐことになります。
・「第四章 どの道で迷っていようとも」
有名な盲目の作曲家の朝比奈もナユタの患者です。数ヶ月ぶりに朝比奈の元を訪ねたナユタは、朝比奈の世話をしていた助手が亡くなったということを知ります。しかも、朝比奈は「自分のせいで死んだ、私が殺したも同然だ」と言います。助手の死の真相、そしてナユタの過去や彼の秘められた人間性も明らかになります。
・「第五章 魔力の胎動」
前作の『ラプラスの魔女』で描かれた、赤熊温泉での火山性ガスによる不審死が主題です。3年前にも、灰堀温泉で同じように火山性ガスによって親子3人が亡くなるという事故が起きていましたが、その事件の真相が明かされることになります。これは事故だったのか心中だったのか、そして温泉地に現れた不審な行動をする女の目的は何か、青江修介と奥西哲子が奮闘します。

超人気作家の東野さんですが、個人的には内容にも文章にもちょっと物足りなさを感じています。近頃は殆どが映像化されていますので、その流れで書かれているのかなと思ったりしています。2006年の『容疑者Xの献身』や、2012年の『ナミヤ雑貨店の奇跡』などは超面白かっただけに、あの頃のような小説を読みたいなと思っています。
《図書館からお借りしました》
P6290002