カテゴリ:
住野よるの『青くて痛くて脆い』を読み終えました。
『君の膵臓をたべたい』と同様に、お爺さんからするとちょっと青臭いお話なのですが、若者の細かい心理描写が見事で、なかなかいい本でした。

ドライで現実主義的な大学一年生の「僕」こと田端楓が主人公です。彼の信条は、〈人に不用意に近付きすぎないことと、誰かの意見に反する意見を出来るだけ口に出さないこと〉と決めています。そんな引っ込み思案というか積極性に欠ける性格ゆえに入学当初から孤独な日々を送っています。しかし、講義中に理想論を振りかざして周囲を驚かせる同級生の秋好寿乃とひょんなことから仲良くなります。二人は意気投合して、秘密結社のような「モアイ」というサークルを立ち上げます。活動目的は「四年間で、なりたい自分になる」というものでしたが、発足から2年半後には理想からは大きく掛け離れた巨大な就活サークルになってしまいます。そんなサークルに嫌気がさして楓は去っていくのですが、暫くして就活も終え卒業を待つばかりになった頃に、理想に燃えて創立したサークルへの思いが再燃してきます。そして、思いもしないような手段でサークル執行部へ戦いを挑むことになります。
ここまでが前半部までのあらすじですが、読みどころは後半部です。登場人物の心理描写、刻々と変化するお互いの距離感など、静かなタッチですが、読み応えがあります。

キラキラと輝き、いろいろなことに傷つき、そして後悔の連続だった・・・そんな青春時代のあなたをこの小説の中に見出すかもしれません。まさに「青くて」「痛くて」「脆い」青春の一頁を思い出させるいい本でした。本屋大賞にノミネートされるといいなと思っています。
IMG_2766