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宮部みゆきの『あやかし草紙 三島屋変調百物語・伍之続』を読み終えました。
550頁を超える分厚い長編小説ですが、面白くてほぼ一気読みです。
これまでに4巻刊行されている人気シリーズですが、この巻で26話になりました。いつものように江戸は神田の筋違御門先にある袋物をあつかう三島屋で、風変わりな百物語を続けるのが、このお店の主人の姪のおちかです。実家は川崎宿にある旅籠の丸千で、訳あって三島屋へ身を寄せ、お手伝いをしながら、語り手の聞き手として務めをしています。今回も口入屋の灯庵という老人の周旋で語り手が三島屋へ訪れることから物語が始まります。
「開けずの間」、「だんまり姫」、「面の家」、「あやかし草紙」、「金目の猫」の5話。
・・・語って、語り捨て。聞いて、聞き捨て・・・
欲望、憤怒、怨念、嫉妬、妄執、後悔など、人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業の深さを思い知らされます。そしてそれらを超えたところでの人間の心の温かさも伝わってきます。今まさに猛暑の夏真っ盛り、少し涼む意味でも『これぞ江戸怪談の最高峰』と銘打った物語の数々をお楽しみいただければと思います。体感温度は首筋から背中にかけて、ぞく~っと5℃ほど下がる感じですが、一つの物語を読み終えますと心はほっこりと温かくなりますから、ご安心のほどを。(笑)
そうそう、おちかさんは三島屋から三丁ほど離れた多町二丁目にある貸本屋の瓢箪古堂の若旦那・勘一さんのもとへめでたく嫁いでいくことになります。そんなことで、このシリーズはいったん完結して、次巻からは三島屋の小旦那である富次郎さんが百物語の聞き手を務めることになります。黒白の間で語られる27話からのシリーズも楽しみですね。 
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