カテゴリ:
堂場瞬一の『焦土の刑事』を読み終えました。
昭和20年3月10日に起きた東京大空襲の日、銀座の防空壕で首に切り傷のある若い女性の他殺死体が見つかるところから物語は始まります。警視庁京橋署刑事で28歳の高峰は捜査に乗り出すのですが、署長から「あれは空襲の被害者で、身元不明ということにする」という思ってもいない指示を受けます。高峰は、特高に本籍を置き警視庁保安課で芝居台本の検閲などに当たっている幼なじみの海老沢にその不満を漏らすのです。そうこうしているうちに、同じ手口で女性の他殺体が防空壕内で連続して見つかるのですが、同様に上層部から捜査に対する圧力がかかるのです。
そして同年8月15日に終戦を迎え、高峰らは新制警察の体制で本格捜査を行うことになります。その結果、ある劇団との接点が浮かび上がるのですが・・・、ここから先は読んでのお楽しみということにいたします。

戦争という狂気のなかで引き起こされた殺人事件をモチーフに、個人の正義と国家の正義のはざまで揺れ動く若き警察官、そして戦争に翻弄された人々の姿を描いています。高峰・海老沢というコンビが活躍するシリーズのようですから、次作も楽しみな一冊になりそうです。
P9130002