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村山早紀の『星をつなぐ手』は読んで良かったと思える一冊でした。
2016年の『桜風堂ものがたり』の続編になり、2017年の『百貨の魔法』とも関連があります。小さな地方都市の風早市にある老舗の星野百貨店とテナントの銀河堂書店、そして辺鄙な山奥の美しい里、桜野町にある桜風堂書店が舞台です。主人公は月原一整という青年です。田舎の小さな桜風堂書店を継いだ彼が、いろいろな困難に直面しながらも本に纏わる縁で繋がった友人たちの助けを借りて書店を再生していく物語です。
村山早紀さんの文章は、ふんわりと包まれるような優しいタッチでとてもいいですね。登場人物や情景、展開が限りなく美しく、抒情的そしてメルヘンチックに描かれていて、あたかも夢心地で星野百貨店のショーウィンドーや桜風堂書店の店先を覗いているような気持になります。こんな素敵なデパートや書店が近くにあればいいなと思ってしまいます。
読んでいて優しい気持ちになれる一冊、ぜひ本屋大賞にノミネートされて欲しいと思います。
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