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そして最後はセンターゾーンです。
このエリアには高橋是清邸と北多摩屈指の製糸会社で財を成した西川家の別邸が目玉です。

まず西川伊左衛門が1922年(大正11)に隠居および接客用として建てた建物です。大正から昭和初期の養蚕、製糸業が最盛期を迎えた頃ですから、使われている部材もよく吟味されたものが用いられています。
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そして、第20代内閣総理大臣の高橋是清邸です。1902年(明治35)の竣工で、2000坪の広大な敷地の中に建っていたそうです。
高橋是清は、1936年(昭和11年)2月26日、赤坂表町三丁目にあったこの家の2階寝室で叛乱軍襲撃部隊によって胸に6発の銃弾を撃たれ暗殺されました。世にいう「二・二六事件」です。
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栂普請(つがぶしん)という建物で、柱や縁側の板(縁甲板)などにツガ材が使われています。洋間の床は寄木張りになっていたり、当時は高価であった障子ガラスにも繊細な模様が施されています。華美ではないもののセンスの良さがうかがわれます。
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叛乱軍の青年将校たちは、この階段を上がって2階の書斎、そして寝室に侵入したと言われています。実際に階段を登ってみますと、ずしりと歴史の重みを感じてしまいます。
階段を登ったところが書斎として使っていた部屋、奥が寝室です。今は窓外の緑がグラデーションを醸し、柔らかい日差しが差し込んで何事もなかったように静かです。
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