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百田尚樹の『夏の騎士』を読みました。
『永遠のゼロ』ではゼロ戦のパイロットを主題に描いていましたが、この作品は子供を主人公にしたものです。強くて名誉と勇気を重んじる騎士団を結成した小学6年生の男の子3人が繰り広げるひと夏の冒険物語です。
百田版「スタンド・バイ・ミー」と銘打っていますが、小学高学年と言うのは私たちが実際に通ってきた道でもありますね。人生経験が乏しいながらも友情や恋、社会や生き方について朧げに考えることができるようになった年頃だったように思います。
物語のテーマは「勇気」です。人間はなかなか一歩を踏み出す勇気を持つことは難しいものですが、自らが心の中で育てていかないと手にできないものだということを語っています。もともと勇気のない3人の少年でしたが、いろいろな試練に立ち向かい勇気の芽を少しずつ育てていきます。そして、ついに大きな樹まで育てあげたものは心の芯となり、自らを支えていくことになります。
固い友情や淡い恋心・・・夏の草原に流れる爽やかな風のような一冊、ぜひお読みになってみてください。
そうそう、百田尚樹さんはこの作品を持って作家業を引退なさるそうです。
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