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今年も日本ピアノ調律師協会のカレンダーをいただきましたので、昨年に続き古いピアノを紹介していきたいと思います。いずれのピアノも練馬区羽沢にある武蔵野音楽大学・江古田キャンパス『楽器博物館』所蔵のものだそうです。

お役御免となった2020年1月のカレンダーはスクエアピアノ(Luckfield/London 1780)でした。

スクエアピアノはすでに何度か登場していますが、アップライトピアノが誕生する以前に普及していた家庭用の小型ピアノで、18世紀後半のイギリスで大流行したようです。バッハの末子で「ロンドンのバッハ」と呼ばれていたヨハン・クリスティアン・バッハ(1735-1782)は、このスクエアピアノを大変好んだようです。1768年に彼が初めてスクエアピアノで公開演奏を行ったことを切っ掛けにして、裕福になりつつあった市民階級に広く普及していったようです。一世を風靡したズンペという工房のスクエアピアノは、音域は5オクターブで、手で操作するハンドストップによって半分ずつのダンパーを上げて弦を開放することができるようになっているそうです。
2020-01