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相場英雄の『ガラパゴス』、上下巻で600頁ありますが、一気に読んでしまいました。
沖縄出身の派遣労働者が身元不明の自殺者として見せかけられた偽装殺人事件の捜査を縦軸に、今や就労人口の4割近くを占める派遣など非正規労働者の実態と、彼らが働く日本の家電メーカーや自動車メーカーの問題などを横軸にして物語は進んでいきます。
携帯電話などを含め日本の家電製品のガラパゴス化の末路、とりわけS社の台湾企業による買収などはニュースで大きく取り上げられていますが、日本の自動車メーカーの誇るハイブリッド・カーなどでも同様の現象が起きていることを本書は暴いています。世界の潮流に乗り遅れ、とっくに競争力を失っている大企業救済のため、「エコカー減税」などといった付け焼刃的な景気対策を進める政府の施策などにも目を向けていきます。これらの様々な元凶が複雑に重なり合って負のスパイラルに陥っている様子が、厳しい雇用環境を絡めて生々しく描写されています。
フィクションとはいえ、迫力があって読み応えのある小説でした。P4100002_1