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カテゴリ:ピアノは弾けないけれど

第18回ショパン国際ピアノコンクール

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ポーランドのワルシャワで開催されている第18回ショパン国際ピアノコンクール2020で、反田恭平さんと小林愛実さんのお二人がファイナリストになりましたね。5年毎の本大会は、昨年開かれるはずだったのですが、新型コロナの影響で今年に延期になりました。

7月12日から23日までの予備予選では、151人が出場し、そのうちの78人がメインステージに進みました。また、チャイコフスキー国際コンクールや浜松国際ピアノコンクールなどで2位以内に入賞し、予備予選を免除された9名も加わることになります。この予備予選免除9人の中には、牛田智大さんも含まれています。残念ながら牛田智大さんは第3ステージに進むことは出来ませんでした。
ちなみにメインステージ出場者の出身国は、多い方から中国22名、ポーランド16名、日本14名、韓国7名、イタリア6名などだそうです。

メインステージの1次予選 (STAGE I)は、10月3日から7日までの5日間に、前述の87人が参加して行われました。続く2次予選(ステージII)は、10月9日から12日までの4日間開催され、1次予選を通過した45人のコンテスタントによって競われました。最後の3次予選(ステージIII)は、10月14日から16日までの3日間、本選(ファイナル)の出場権をかけ23人によって争われました。その結果、反田恭平さんと小林愛実さんを含む12人のコンテスタントが選ばれ、本選(ファイナル)のステージで演奏することになりました。すでに10月18日から20日まで開催されており、反田さんは初日の3番目、小林さんは3日目の1番目の演奏となっています。

お二人とも、ピアノ協奏曲 第1番 作品11(ホ短調)Concertos: in E minor, Op. 11をお選びになりましたね。

そうそう、反田恭平さんと小林愛実さんは幼い頃に同じピアノ教室へ通われていた幼なじみで、気心の知れた親友なのだそうです。予備予選からお互いに励まし合っていたのでしょうね。
反田さんの本選(ファイナル)の演奏は、youtubeに掲載されていますので、ぜひお聴きになってください。惹きこまれるほどに素晴らしい演奏です。お二人揃って10月21日から開かれる入賞者披露演奏会 (Prize winners' concert)で演奏できるといいですね。ご健闘を祈っています。
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本選(ファイナル)での反田さんの演奏は、Chopin Instituteでご覧いただけます。

期待のピアニスト 亀井聖矢

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昨日のNHK BSプレミアム「クラシック倶楽部」は、ピアニストの亀井聖矢さんでした。
亀井さんのことはまったく知りませんでしたが、2001年生まれの18歳、桐朋学園大学の2年生です。高校2年から3年に進級する昨年の春に1年早く飛び級で異例の形で大学生になりました。もっと驚くのは昨年の日本音楽コンクールとピティナ・ピアノコンペティション特級に17歳で優勝していることです。いずれも若手音楽家の登竜門と言われているコンクールですから、その凄さのほどが分かります。
番組の収録は、9月29日に「めぐろパーシモンホール 小ホール」で行われたもので、曲目はベートーベンのピアノ・ソナタ 第21番 作品53「ワルトシュタイン」、リストの超絶技巧練習曲から 第5番「鬼火」、第4番「マゼッパ」ほかでした。若手らしく爽やかで躍動感があり、しかも情感溢れる演奏に聴き入ってしまいました。これからの伸びしろの大きい演奏家と思いましたので、私の中の注目度そして期待度は高いです。数年後にはショパンコンクールに出場することを切望しています。

日本ピアノ調律師協会のカレンダーのピアノは、サボって9月から掲載していませんでしたが、もう12月ですので、今回を持ちまして終了したいと思います。今月はピアノではなく、ポジィティブオルガンという小型のパイプオルガンです。ポジィティブとは運搬可能という意味で、一人がふいごで風を送り、もう一人が両手を使って演奏するという形式の楽器です。中世ヨーロッパの小さな教会の室内オルガンとして、また世俗的な音楽の場面で演奏されたようです。このオルガンは辻オルガン製造による我が国最古のパイプオルガンと言われています。
2020-12

2020年8月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会のカレンダー・シリーズ。8月のカレンダーの写真は、古いグランドピアノでした。1845年にロンドンのWilliam Stodart & Sonという製作所で作られたものです。

1820年頃から1860年代にかけてのヨーロッパとアメリカでは、時代的にピアノが大変革する時期でした。より大きく豊かな響きが求められることで、必然的にハンマーが大きくなったり、弦の張力が増加するようになったのもこの頃からと言われています。これに伴いボディケースの強度への関心は自ずから高まっていきました。それまで木製だったものに金属製のブレース(補強材)が追加されるなど構造が少しずつ改良されていくことになります。Stodartが1825年に特許を取得した補強方法は、チューブ型の金属支柱によりフレームを強化する画期的な構造でした。これはヨーロッパで完全な鋳鉄フレームが使用される30〜40年前のことになります。
当時のピアノの弦は、低音域には真鍮線(黄銅)が、中音域と高音には鉄線(低炭素鋼)が主に使われていました。これらは温度に対する伸縮度が違いますから、Stodartらはそれに対応するようにフレームの金属も使い分けていたようです。

ちなみに、日本でピアノ線を製造しているNippon steel社の資料によりますと、19世紀初めにおける弦の張力の総和は4.5トンでしたが、同世紀中頃には12トンに増大していたそうです。これは徐々に鋼線(高炭素鋼)を主体に使うことによる弦張力の増加であり、この負荷をいかにフレームが受けとめるかが課題であったようです。現在のピアノの張力は20トンにも達し、フレームそのものはその1.5倍(35トン)以上の張力に耐えるよう設計されているそうです。

繊細そうに見えるピアノですが、いつも20トン以上の負荷に耐えているのですから凄いですね。たとえが変ですが、高い水圧に耐えて潜っている潜水艦を思い出しちゃいました。(^^♪
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2020年7月のピアノ

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早いもので、あと1週間ほどで8月が終わり、秋めいてくる9月ですね。
日本ピアノ調律師協会のカレンダーの7月は古いフォルテピアノでした。
写真のピアノは武蔵野音大楽器博物館に収蔵されているドイツのC.F.シュマール製作のものです。ご覧のように鍵盤の色が現在とは逆で、象牙が輸入される以前は黒檀が愛用されていたようです。外形はチェンバロの面影を残しており、ダンパーやソフトなどのための「ニーペダル」と呼ばれる膝ペダルを備えていました。モーツァルトはこのピアノの前で、一生懸命に膝を動かしながら演奏したのでしょうね。鍵盤のタッチが浅く軽やかなウィーン式アクションが組み込まれていたことも特徴で、モーツァルトやベートーベンのピアノソナタも、当時のピアノならではの作品と言われています。
2020-07

『駅・空港・街角ピアノ スペシャル』

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6月に放映されたNHK-BS1の『駅・空港・街角ピアノ スペシャル』。録画していたものの、観る時間がなくてそのままになっていましたが、やっと観ることが出来ました。過去に何度かブログで取り上げるほどにお気に入りの番組で、番組の殆どは観ていましたが、今回は総集編のスペシャル企画になっていましたので、新鮮な感覚で観ることが出来ました。番組では今までに放映されたショットの視聴者ランキングがされていましたが、皆さんもう一度観たいというのはだいたい一緒なんだと思いました。

個人的にはロンドンのセント・パンクラス駅で収録された黒人男性と障害を持つ女の子のツーショットが良かったと思っています。男性はプロのミュージシャンということですが、近くの女の子を呼び寄せて「好きに弾いていいよ」と声掛け。演奏した曲は、ヴェートーベンの「歓喜の歌」。無邪気に鍵盤を押す女の子に合わせて、黒人男性が優しくメロディーを奏でる光景が素晴らしくウルウルするほどでした。
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もう一つは神戸市の西神中央駅に置かれたピアノを弾く42歳の目の不自由な女性の演奏も感動的でした。軽やかなタッチのAKB48の「365日の紙飛行機」の演奏は素晴らしかったです。
『朝の空を見上げて 今日という一日が 笑顔でいられるように そっとお願いした 時には雨も降って 涙も溢(あふ)れるけど 思い通りにならない日は 明日頑張ろう』・・・人それぞれの紙飛行機が空高く飛び回っているようで元気をいただけました。
そっと椅子を元の位置に戻すお母さんと、演奏を終えて晴れやかな彼女の笑顔が忘れられません。
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人生の絶頂期にあって喜びいっぱいのカップルや、思い通りにならなかった人生を振り返る人など・・・ピアノの前で繰り広げられる人生模様は本当に人それぞれだと思ってしまいます。ただ、皆さん、ピアノを演奏している時はとてもいい表情をしていますね。そして音楽は心を通わせあえる共通言語なんだとあらためて思いました。
『駅・空港・街角ピアノ』。これからも続いて欲しいと思っています。
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※NHK-BS1『駅・空港・街角ピアノ スペシャル』の放映画面を撮影させていただきました。

2020年6月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会のカレンダーの6月は、古いグランドピアノでした。

このピアノを製作したコンラート・グラーフ(Conrad Graf 1782-1851)は、19世紀のウィーンを代表するピアノ製作者のひとりです。1824年に宮廷ピアノ製作者の称号を取得し、1835年の第1回ウィーン工業見本市のピアノ部門で金賞を受賞するほどの腕前でした。時代は同業製作者の多くが金属の支柱をフレームに組み込む方向に向かっていましたが、彼は伝統の音色を守るため1840年まで木製フレームにこだわり続けたことでも知られています。
シューベルトは幼少期からグラーフのピアノを愛用していましたし、難聴の進んだ晩年のベートーヴェンも使っていたといいます。また、シューマン夫妻はグラーフからピアノを贈られていますし、ショパンも1829年のウィーンでのデビューリサイタルにグラーフのピアノで演奏して成功を収めたそうです。
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2020年5月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会のカレンダーの5月の紹介を忘れていました。

当月は日本で最初に作られたアップライトピアノが掲載されていました。1900年(明治33年)に日本楽器製造株式会社(現 ヤマハ株式会社)の山葉寅楠が、若手の松山大三郎、山葉直吉、河合小市(後の河合楽器の創設者)らとともに製作した記念すべきピアノです。これ以前にもピアノの製造は始められていましたが、国産化したのは外部の木工部分だけで、内部の主要部品のほとんどは海外からの輸入というものでした。そんななかアクションなどを含めて国産化した輝かしい一台と言えます。ただピアノ弦の国産化は遅く、昭和20年代まで待たなくてはなりませんでした。

そもそも山葉寅楠(やまは とらくす)という人は面白い人ですね。もとは医療器具を修理する職人だったらしいですが、たまたま浜松の病院長の紹介で浜松尋常小学校(現在の浜松市立元城小学校)のオルガンの修理を依頼されたことがこの道に進むきっかけになったようです。当時、日本国内でオルガンを製造する技術はなく、すべて米国からの輸入品でとても高価なものだったようです。小学校から依頼された修理は簡単なものだったそうですが、寅楠はあえてオルガンを分解して、これをもとに詳細な構造仕様図を作成したということです。寅楠は、国産なら安く作れるだろうし、唱歌教育の広まりと共に全国の小学校の需要が高まることを先見的に読んでいたようです。これは図星でした。資金的な面でバックアップしてくれる理解者との出会いもあって「山葉風琴製造所(のちの日本楽器製造株式会社)」を設立することになります。

河合小市(かわい こいち)との出会いも運命的なものでした。小市は前述の浜松尋常小学校に通っていた少年であり、11歳にしてキラキラと輝くような天性の才能を備えていたことが知られていました。この小市少年が寅楠の目に留まったことは言うまでもなく、国産ピアノ・メーカーとして歩みを始めた日本楽器製造株式会社の両翼を担う人物として成長していきます。小市はおもに国産ピアノにとって必要不可欠な重要部品であったアクションの開発に心血を注ぐことになります。そんな2大スターの寅楠と小市の最高傑作が写真のピアノです。

昭和2年(1927年)に小市は、ヤマハから独立して「河合楽器研究所」を創立し、現在に至っています。YAMAHAとKAWAIは、世界中のピアニストから愛される一流ブランドですが、そんな感動の歴史があるんですね。
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2020年4月のピアノ

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早いもので5月も5日が経ち、今日は「こどもの日」でしたね。
散歩のときに鯉のぼりを目にして、「いらかの波と雲の波」などと口ずさんだリして歩いていました。そうそう「屋根より高い鯉のぼり」というのもありましたね。

お役御免となった日本ピアノ調律師協会の4月のカレンダーは古いグランドピアノでした。
このピアノは世界最高峰のピアノメーカー、スタインウェイ・アンド・サンズ社の母体であるグロトリアン=シュタインヴェーク社製の一台です。シュタインヴェーク社は1835年にドイツのブラウンシュヴァイクで創業したそうです。

このコンサート用グランドピアノはクララ・シューマンの為に作られたようです。
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2020年3月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会の3月のカレンダーは、ジラフ・ピアノ(キリン・ピアノ)というものでした。家庭用ピアノとして一般的なアップライト型の先駆けとなったタイプと言われています。グランド・ピアノをそのまま垂直に立てたような形で、前面に鍵盤を付け、アップライト式のメカニックによって横からハンマーを打つ方式になっています。長い首の上に頭がのっているような形からジラフ・ピアノ(キリン・ピアノ)と呼ばれています。

ハープシーコードの弦を垂直方向に張ったクラヴィシテリウムという楽器が18世紀に多く作られていましたが、このクラヴィシテリウムにヒントを得て製作されたものと考えられています。当時の中産階級の家庭には、場所をとらないという利点から広く普及したようです。
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2020年2月のピアノ

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2月、3月と新型コロナ騒動で訳が分からないまま慌ただしく過ぎてしまった感じです。気がついたらもう今週で3月も終わりですもね。日本ピアノ調律師協会からいただいた2月のカレンダーのピアノの紹介を忘れていました。

2月は、今から180年前の1840年に製作されたグランドピアノでした。ウィーンに工房を構えていたヨハン・ミヒャエル・シュヴァイクホーファーによるものだそうです。シュヴァイクホーファー社はドイツ人であったヨハンの父によって1792年に創設されましたが、父の死後にヨハンは新たなピアノ会社(シュヴァイクホーファー・ウント・ゼーネ社)を創設し、その会社は1938年まで存続していました。
彼はとても腕のいい職人だったらしく、1845年のウィーン博覧会に出品したピアノは金賞を受賞するほどに素晴らしい出来だったそうです。
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2020年1月のピアノ

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今年も日本ピアノ調律師協会のカレンダーをいただきましたので、昨年に続き古いピアノを紹介していきたいと思います。いずれのピアノも練馬区羽沢にある武蔵野音楽大学・江古田キャンパス『楽器博物館』所蔵のものだそうです。

お役御免となった2020年1月のカレンダーはスクエアピアノ(Luckfield/London 1780)でした。

スクエアピアノはすでに何度か登場していますが、アップライトピアノが誕生する以前に普及していた家庭用の小型ピアノで、18世紀後半のイギリスで大流行したようです。バッハの末子で「ロンドンのバッハ」と呼ばれていたヨハン・クリスティアン・バッハ(1735-1782)は、このスクエアピアノを大変好んだようです。1768年に彼が初めてスクエアピアノで公開演奏を行ったことを切っ掛けにして、裕福になりつつあった市民階級に広く普及していったようです。一世を風靡したズンペという工房のスクエアピアノは、音域は5オクターブで、手で操作するハンドストップによって半分ずつのダンパーを上げて弦を開放することができるようになっているそうです。
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2019年12月のピアノ

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2020年の新しいカレンダーに替わり1枚だけになった昨年12月の日本ピアノ調律師協会のカレンダーがお役御免となりました。当月のピアノは、19世紀のパリで製作された自動演奏付きのアップライトピアノでした。当時は現代のようなオーディオ機器がありませんでしたので、オルゴールやこのような自動演奏ピアノはとても人気があったといいます。超絶技巧で奏でる無人のピアノに驚いたことでしょう。
今後AI技術が発達して人型ロボットが素晴らしい演奏を披露する時代が来るかもしれませんが、個人的には「う~ん」って感じがします。
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2019年11月のピアノ

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11月も残り少なくなりました。いよいよ12月ですね。
日本ピアノ調律師協会の11月のカレンダーは19世紀のグランドピアノでした。ウィーンのGeorge BANWARTHによって製作された「跳ね上げ式」と呼ばれるアクションを有するピアノです。
資料によりますと・・・1840年代、ピアノの鉄骨の前身となる支えが入り始めるのですが、同時にアクションにも変化が見られるようになります。前述のウイーン式と呼ばれる「跳ね上げ式」と、イギリス式と呼ばれる「突き上げ式」に分化して発展します。前者は鍵盤とハンマーが連結しており、後者は鍵盤とハンマーが連結せずに下から突き上げて弦を打ちます。音色も明るく軽快なのと重厚な響きの違いがあります。現在のピアノは、殆どがイギリス式構造のアクションを使っています。
当時はピアノの黎明期ということもあったのでしょうが、ハイドン 、モーツァルト、シューベルト など主だった作曲家は現代の「突き上げ式」ではなく、ウィーン式のアクション・ピアノを好んでいたようです。現在とは音色そのものが違っていたのでしょうね。
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2019年10月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会の10月のカレンダーのピアノは18世紀のスクエアピアノでした。
スクエアピアノは前にも掲載しましたが、小型ですのでアップライトが出現するまでは家庭用のピアノとして広く普及したようです。上部がフラットになりますので、テーブルとしても使われたようです。
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2019年9月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会のカレンダーの9月のページは古いアップライトピアノです。
アップライトは我が家にもありますし、多くの家庭にあるピアノですので、カレンダーの説明文をそのまま掲載します。

初期のアップライトピアノはグランドピアノを縦にした形で、ハンマーアクションもグランドピアノのものを垂直用に改造して使用していた。このようなピアノは高さが2mを越えていたことから、家庭用のコンパクトなピアノとして高さを抑え、専用のアクションを組み込むことでアップライトピアノが誕生した。

それにしましても現代のアップライトと違い装飾が見事ですね。上部は飾り棚のようになっていますから、家具の一部としても機能していたのかも知れません。
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2019年8月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会からいただいたカレンダーの8月のピアノは、バレルピアノというものです。

バレルピアノという名前は初めて知りましたが、木の筒に曲のデータとなるピンをいくつも植え込んだものをバレルというらしいです。オルゴールのピンのようなもので、自動演奏するためのソフトウェアになります。ゼンマイ仕掛けのバレルが回り、ピンがキーを持ち上げて連動したハンマーを動かして弦を叩くのだそうです。小型のバレルピアノは街に持ち出され演奏していた為にストリートピアノとも呼ばれていました。

50年ほど前のジュネーブでは夏の期間に街の広場などに移動遊園地がやってくるのですが、メリーゴーランドなどとともにこんなストリートピアノもあったように記憶しています。普通のピアノとは違い、なんとなくメルヘンチックな音を奏でていたように思います。

若い人は分からないでしょうが、似たようなものにジュークボックスがありましたね。硬貨を入れるとお好みのシングルレコードの演奏が始まるというものでした。CDの発売とともに姿を消したようですが、これも懐かしいです。
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2019年7月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会からいただいたカレンダーの7月のピアノは、小野ピアノのグランドピアノです。

先月のピアノ紹介で日本には100社を超えるピアノ・メーカーがあったとお伝えしましたが、小野ピアノもそのうちの1社です。仙台の富豪で蓄音機の販売で成功した小野好氏(明治29年~昭和60年)が、昭和8年に東京都大田区六郷で「小野ピアノ製造」を創業したことに始まります。工場は蒲田にあり、4年後の昭和12年には当時ヤマハの専任技師だった大橋幡岩氏を工場長に招いてピアノ造りを本格化させています。大橋幡岩氏はカワイの創業者である河合小市氏と共にベヒシュタインに技術留学したことでも知られています。
戦後は湯河原に工場を移し、銀座で販売して再び評判が広まりましたが、手作りで少数生産だったため、ヤマハやカワイなど近代的で合理的なメーカーに押され、徐々に生産台数は減って現在は生産されていません。
写真のピアノは昭和11年に「ホルーゲル」のブランド名で発売された日本初のフルコンサート・グランドピアノです。
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2019年6月のピアノ

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7月も半ばになりましたが、日本ピアノ調律師協会のカレンダーの6月のピアノの紹介を忘れていました。
6月は一般的なアップライトピアノでした。
ただ、聴いたこともない大倉楽器工業という会社で製作された「コスモス」というブランドのピアノです。製作年は1953年と言いますから、終戦から10年も経っていない昭和28年にこのような立派なピアノを作っていたのですね。
私たちのようなベビーブーム世代がこれから学校へ入ろうという頃ですから、学校からのニーズを当て込んだ工業化だったのかも知れません。
それと、戦後復興で高度成長期に入ろうとしていた時期でしたので、一般家庭のピアノブームの到来を予見していた可能性もあります。

ちなみに、日本にどのくらいのピアノメーカーがあったのか調べてみました。
まったくの予想外というか驚く結果でしたが、何と100社以上の国産ピアノメーカーがあったことが分かりました。
会社名もエビスピアノ製作所、フローラピアノ製造、スワン楽器などというユニークな名前が沢山あります。100社それぞれの技術者がしのぎを削って研究開発に没頭していたのでしょうね。現在はヤマハ、河合という2大メーカーに集約されていますが、各社が独自に開発した技術が現在のピアノ作りに活かされていることと思います。

日本の「ものづくり」が時代とともに衰退しつつありますが、この100社に及ぶピアノメーカーの存在を考えただけでも日本の技術の底力は凄いと思ってしまいます。
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2019年4月と5月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会のカレンダーの4月のピアノを忘れていましたので、5月と一緒に紹介します。

4月は「スピネット」でした。
グランドピアノ型の物を「チェンバロ」、弦が真横に張ってあるものは「ヴァージナル」と言うらしいです。そして写真のピアノのように弦が斜めに張ってあるのが「スピネット」と呼ばれる古いピアノです。弦が斜めですので、弦長がある割には部屋に置きやすいのだそうです。右のサイドがチェンバロの様にカーブしており、このようなベントサイドのあるものは「ベントサイドスピネット」と言うようです。
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5月のピアノは「テーブルピアノ」です。
写真のピアノを保存展示している武蔵野音楽大学楽器博物館によりますと、製作はエラール、プレイエルに継ぐフランスを代表するピアノメーカーのパープによるものだそうです。パープは今日に残る代表的考案であるフェルト巻ハンマーや弦の張力を分散させる交差弦方式など137もの特許をとる画期的機構を生み出したそうです。
写真のピアノは、パープの特許となった独特な形状の楽器で、鍵盤を奥へスライドさせ、譜面台を兼ねた蓋を閉めると、6角形のテーブルに変身する家具調ピアノです。上流階級の調度品にふさわしい仕上りで、ワーテルローの戦いでその名を馳せたウェリントン公爵も同じピアノを所有していたといわれています。
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一ノ瀬海くんのピアニストは誰・・・? (2)

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『ピアノの森』はついにフィナーレを迎えましたね。
海くんの奏でるショパンのピアノ協奏曲第1番がワルシャワ・フィルハーモニー・ホールに流れると、感動のあまり聴衆の眼には涙があふれていましたが、私もウルウルして聴いていました。海くんの演奏、良かったですよね。

ところで、海くんのピアニストは本当に誰なのでしょうね。
フィナーレのエンドロールをしっかり見ていましたが、ついに分からずじまいでした。
1ヶ月ほど前に私のブログでもいろいろと予想をしてみましたが、「う~ん」って感じです。
このアニメは韓国でも大人気ということですので、ひょっとして2015年のショパン国際ピアノコンクールの優勝者のチョ・ソンジンという線もありかなと思っているところです。
それにしましても、NHKと日本コロンビアの作戦は上手ですよね。なんとなくミステリアスで・・・

そうそう、CDも発売になっています。
私は『一ノ瀬 海 至高の世界』という2枚組を購入しましたが、『Piano Best Collection II』も昨日発売になりました。前者は、海くんだけの演奏です。後者には、最終回で海くんと阿字野が共演した「ラフマニノフ:2台ピアノのための組曲 第2番~ロマンス」も収録されています。

この記事を書きながら、海くんの演奏を聴いているのですが、まだ行ったことのないワルシャワの街の情景が浮かんでくるようです。ワルシャワとプラハへはぜひ行きたいと思っています。

毎週日曜日午後7時からE-TVで再放送されますから、ぜひご覧になってください。
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2019年3月のピアノ

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日本ピアノ調律師協会の3月のカレンダーは、ヨハン・フレンツェルという人が作った古い時代のグランドピアノの写真でした。

フレンツェルについては1840年頃からオーストリアのリンツでピアノの製作に当たっていたくらいの情報しかなく詳細については殆ど知られていないようです。一説にはハンマーヘッドを革からフェルトに変えた製作者とも言われています。
この当時のピアノは、現代のグランドピアノのように弦が対角線上を走って楽器の中心に収まる構造ではなく、平行にまっすぐに張られているのが写真から分かります。また骨組み全体が鋳物の一体成型で作られておらず、木の構造を補強する程度しか金属は使われていませんでした。弦の張力が現在に比べて1/3程度だったそうですから、この程度の補強で大丈夫だったのでしょう。金属フレームが無いぶん軽かったのでしょうが、音の減衰も早かったのでしょうね。
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一ノ瀬海くんのピアニストは誰・・・?

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NHK-Eテレで毎週金曜日の午後9時30分から放映になっている「ららら♪クラシック」。
3月8日(金)の放送は、TVアニメ「ピアノの森」との特別コラボレーションでしたが、ご覧になりましたでしょうか。反田恭平さん、髙木竜馬さん、牛牛(ニュウニュウ)さんが出演して、収録の裏話やピアニストのリアルな生活を語っていました。
天才ピアニストでありながら不慮の事故で左腕が使えなくなってしまった阿字野壮介のピアノ演奏を担当した反田さんは、ご自分も右腕や指の骨折を経験されているそうです。不自由でもどかしい思いをした当時を振り返り、レコーディングに臨んだといいます。完璧主義で英才教育を受けた雨宮修平を担当した髙木さんは、最初は自分と異なるタイプの人間だと感じたと仰っていました。コンサート前は毎日14~15時間もストイックに練習に励むタイプという高木さんは、製作過程でキャラクターのなかにシンクロする部分を見つけ演奏に生かしたそうです。パン・ウェイを担当した牛牛さんは、同じ中国人ということもあり演奏を通してキャラクターと自分の個性が自然に融合し命を吹き込むことができたといいます。

そうそう、アニメ「ピアノの森」はどのように製作されるのか興味があったのですが、番組によりますと先に収録するのはピアニストの演奏なのだそうです。それに合わせてアニメ映像を作るのですね。阿字野壮介と反田さんは年齢的に見て乖離すると思いますが、雨宮修平と髙木さん、パン・ウェイと牛牛さんは雰囲気が似ているような感じがします。
そして本選のシーンは、ショパン国際ピアノコンクールが行われるワルシャワ・フィルハーモニーホールで、しかもワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏とともに収録が行われたといいますから凄いです。ファイナリストによる本選は、コンチェルトになりますから管弦楽団との競演が楽しみです。

それにしましても、一ノ瀬海くんのピアニストは誰なのでしょうね。反田恭平さんの二役、辻井伸行さん、牛田智大さん、務川慧悟さんなどの若手ピアニストが思い浮かびますが、ひょっとして女性ですが2015年のショパン国際ピアノコンクールのファイナリスト・小林愛実さんというのはどうでしょう。
第2シリーズが完結する際に発表があると思いますが、こちらも楽しみですね。(^^♪

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4/18の番組最終回の時に書いた続きの記事はこちらです。
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※写真はいずれもNHK-Eテレ「ららら♪クラシック」の放映画像を撮影させていただきました。

クラシック倶楽部『反田恭平 オール・ショパン・プログラム』

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一昨日のクラシック倶楽部『反田恭平 オール・ショパン・プログラム』も楽しまれた方は大勢いらっしゃることでしょう。私も彼のファンクラブに入っているひとりです。そう、『ピアノの森』で一ノ瀬海くんの先生である阿字野壮介役のピアニストとしてブレークしていますよね。

今回はポーランドが生んだ天才ショパンの傑作を演奏するという内容でした。曲目は「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 作品22」「マズルカ ハ短調 作品56 第3」「ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58」。もう、演奏は言葉が出ないほどに感激しました。

今年の1月30日に収録したようですが、使用したホールがまた素晴らしいものでした。2015年12月にオープンした立川市幸町のCHABOHIBA HALLというところです。調べてみましたら、100席ほどの小さなホールらしいです。かつて養蚕を営んでいた大きな家屋と付随する広い庭がこの地にあり、この邸宅の庭にあった樹齢130年を越えるチャボヒバの木がそのままの姿でホールを見守っているそうです。そしてこの樹がホールの名前の由来になっているようです。映像だけですが、本当にいいホールって感じがします。

そして、今回のリサイタルで反田恭平さんが使用したピアノがイタリアのFAZIOLI (ファツィオリ)。反田さんのテクニックとショパン作品の解釈が卓越していることは言うまでもありませんが、聴こえてくるピアノの響きが異次元というか鳥肌が立つくらいに素晴らしいものでした。
ピアノを専門にされている方には馴染みがあると思いますが、私は先月NHK-BS1で放送された『もうひとつのショパンコンクール』を見て初めてこのピアノのことを知りました。1981年創業とありますから、まだ40年にも満たないピアノメーカーなのですね。
番組の受け流しですが、前回2015年のショパンコンクール本戦前の5日間の練習期間、ステージには4台のピアノが置かれていました。出場するコンテスタント(78名)は自由にピアノを試し弾きして自分が使うピアノを選ぶことができるのです。4台のピアノは、STEINWAY & SONS、YAMAHA、KAWAI(Shigeru Kawai)、FAZIOLI でした。日本のメーカーが2社も入っているというのも凄いですね。

特に番組の中で丁寧に描かれていたのが、FAZIOLI社のただ一人の調律師である越智晃(おちあきら)という日本人でした。創業者のFazioli氏からも「100万人に一人の耳を持つ天才」と認められ男です。社運をかけ、そしてショパンコンクールを陰から支える調律師たちの奮闘は想像を絶するほどに凄まじいものがありました。ただ、ファイナルでFAZIOLIを選択したコンテスタントはおらず、予選でただ一人使用した中国人の女性ピアニストのティアン・ルーも1次予選で敗退します。
ちなみにファイナリスト10名が使用したピアノは、STEINWAY 5名、YAMAHA 5名という互角の戦いでした。そして20日にもおよぶ壮絶な戦いを勝ち抜いてfirst prize, gold medalistとなったのは韓国のチョ・ソンジン(Seong-Jin Cho)でした。彼が選択したピアノはSTEINWAY、残念ながらYAMAHAはメーカーとしての悲願をまたしても達成することは叶いませんでした。

次回のショパンコンクールは来年2020年に開催されますが、どのような新たなドラマが生まれるのでしょうね。そしてFAZIOLIからも目が離せません。
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※写真はすべてBSプレミアム『クラシック倶楽部』の放映画面を撮影したものです。

2019年2月のピアノ

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2月もあっという間に通り過ぎてしまいましたね。
日本ピアノ調律師協会の2月のカレンダーは「スクエアピアノ」です。

今ではあまり目にすることがない四角い形のピアノですが、1700年代にイギリスで大流行したピアノのようです。説明によりますと・・・イギリス人のヨハネス・ツンペという人が、ピアノの先祖のクラヴィコードにハンマーアクション(イギリス式アクション)を付けたのが最初と言われています。時代的に、このスクエアピアノやフォルテピアノを使った作曲家としてはハイドン(1732年~1809年)、モーツァルト(1756年~1791年)などが挙げられます。安価だったため大変人気がありましたが、技術的な発展は殆どなかったようで、本格的なピアノは新しいアクションを使ったグランドピアノの登場まで待たなくてはなりませんでした。

そうそう、山口県萩市の熊谷美術館にはシーボルト由来の古いスクエアピアノがあるそうですね。
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2019年1月のピアノ

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NHK総合で1月28日から第2シリーズがスタートした『ピアノの森』はご覧になりましたでしょうか。私は13話を見逃してしまいました。14話は今日(日曜日)24時10分に放映になりますから見逃さないようにしようと思います。

そんなピアノの話題です。
昨年末に我が家のピアノを調律した調律師さんが、今年の日本ピアノ調律師協会のカレンダーを置いていかれました。武蔵野音楽大学・楽器ミュージアムに保存されている歴史的価値の高いピアノを12台選んで撮影しカレンダーにしたものです。唯一我が家の壁を飾っているカレンダーですが、1月が終わりお役御免になったものの、そのまま2月のページに移るのは勿体ないと思い、カメラでパチリと撮ってみました。

1月の1台はヤンコピアノ(A.H.フランケ作 1887年 ドイツ)というものです。
説明によりますと、ハンガリー生まれのピアニストであり数学者であるヤンコ(Paul von Janko)によって1882年に開発されたピアノなのだそうです。鍵盤に階段状の段差がありますから、演奏者は常に自然な手の形を維持できて、親指の運指にも無理がないのだそうです。また、キイの幅を狭くしたことで、オクターブの幅を超える広い音域での和音演奏が可能になり、さらには全ての長調と短調の音階をそれぞれ同じ指使いで演奏可能とあります。

素人には何のことかさっぱり分かりませんが、面白い発想のピアノなのですね。両脇に燭台がついているのも時代を感じさせていいです。
2月も見たことのないピアノの登場です。お楽しみに・・・(^^♪。
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「駅ピアノ」 JR新函館北斗駅

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「駅ピアノ 空港ピアノ」を紹介しましたが、日本でもストリートピアノや駅ピアノの話題がちらほら聴こえるようになってきましたね。JR新鳥栖駅に駅ピアノが設置され、また2月には東京都庁に「都庁ピアノ」が置かれることになっているそうで、来年の東京オリンピックに向けての動きなのかも知れません。
日本人は国民性がシャイですから、どのくらいピアノの前に座る人が出てくるか疑問ですが、しかしこのような動きは大歓迎です。

そんな駅ピアノですが、JR新函館北斗駅の1F「ほっとギャラリー」内にもグランドピアノが設置されました。一昨日、様子を見てきたのですが、たまたまなのか誰も弾いていませんでした。暖かい室内ですので、練習にはいいかなと思うのですが、テレビの「駅ピアノ」のように乗客が待合時間に弾くかどうかは疑問符がつきます。もともと当駅は乗り継ぎ客が殆どで、乗り降りする人は僅かですので、設置者の目論み通りいくかどうか分かりません。

日本の場合は、首都圏や関西圏の大きな駅は人があまりにも多すぎますし、地方の駅はここのように閑古鳥が鳴いていますので、なかなか適当な設置場所を選ぶのは難しいように思います。

ヨーロッパの古い駅のように「駅ピアノ」のある素敵な雰囲気になればいいですね。
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NHK BS1 『空港ピアノ 駅ピアノ』

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NHK BS1 の『空港ピアノ 駅ピアノ』がシリーズで放映されていますが、ご覧になっている方は大勢いらっしゃることでしょうね。私も大好きで毎回見ています。

ロサンゼルス、プラハ、マルタ、シチリア、アムステルダムなどの駅や空港に置かれたピアノに定点カメラを設置して撮影したものです。ピアノを奏でる人の表情、そしてピアノを取り巻く周囲の様子が温かい空気感をもって捉えられていて、いい番組だなと思っています。駅構内や空港の優しい雰囲気がそのまま伝わってくるような感じがします。音楽のある風景っていいですね。

まず、チェコの首都プラハのマサリク駅に置かれた1台のピアノです。当駅はプラハにできた最初の鉄道駅で、現在は主に国内路線の発着に使われているそうです。プロ並みの腕前の演奏者が次々にピアノの前に座り、さすがドヴォルザークとスメタナの生まれた国と思っていました。そうそう、ロマ(ジプシー)の男性が独特の旋律のジプシー音楽を奏でていたのが印象的でした。

プラハとワルシャワへは以前から行きたいと夢見ているのですが、いまだ叶わないでいます。
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次はアムステルダムの中央駅に置かれた一台です。1889年に竣工した古い駅で、東京駅のモデルとも言われています。多民族国家らしく、オランダ人だけではなくいろいろな国の方々が演奏していました。写真のカルテットはポルトガルから演奏のためにアムステルダムを訪れていた一団らしく、素晴らしい音色を響かせていました。うふふ・・・ホームレスの男性もいい味を出していましたね。

そうそう、50年も前に私の友人がゴッホ美術館から絵画集を買ってきてプレゼントしてくれたことがありました。ぜひ行って実物を見てきてと言われたのですが、こちらもいまだに約束が果たせないでいます。アムステルダムも行きたいなと思っています。
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最後は、イタリア・シチリア島の空港(パレルモ国際空港)に置かれた1台です。こちらは地中海の島ですから、開放感があってプラハやアムステルダムとは雰囲気が少し違います。観光に訪れた人やパレルモからローマ、ベネチアなどイタリア本土へ向かう人たちが、陽気にピアノを奏でるのが印象的でした。

ほぼ50年前にソレントまでは一人旅で行ったことがあるのですが、長靴の爪先から海を越えてシチリアへは行ったことがありません。家内にシチリアへ行ってみたいと懇願しているのですが、マフィアが危ないからと断固拒否されています。メッシーナ海峡を渡って、シチリアへも行ってみたいです。
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※いずれもNHK BS1『空港ピアノ 駅ピアノ』の放映画像を撮影させていただきました。

『ピアノの森 PIANO BEST COLLECTION Ⅰ』

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NHK総合で放映されていた『ピアノの森』は、先週の日曜日で前半の12回が終了しましたが、皆さんご覧になっていましたでしょうか。ショパンコンクールでの一ノ瀬 海くんのピアノは凄かったですよね。後半の12回は来年の1月からスタートするようです。
そんなことで、コロンビアから『ピアノの森 PIANO BEST COLLECTION Ⅰ』というCDが発売になりました。番組では、短い抜粋しか聴けませんでしたので、ファンはこのCDを待ち焦がれていたと思います。本選で演奏する曲などで構成される『COLLECTION Ⅱ』は、後半が終了した時点で発売になるのではと思います。なお、当CDに収録されている曲目と演奏者は下記の通りです。

それにしましても、一ノ瀬 海くんのピアニストは誰なのでしょうね。(^^♪

そうそう、CD発売と同時にiTunesからもダウンロードできます。CDは3240円ですが、iTunesは2200円です。私はダウンロードしました。
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01. 海ヘ (TVアニメ「ピアノの森」オープニングテーマ) / 一ノ瀬 海
02. ベートーヴェン:エリーゼのために / 阿字野壮介(ピアノ:反田恭平)
03. ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1 「小犬のワルツ」/ 阿字野壮介(ピアノ:反田恭平)
04. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第2番 ヘ長調 K.280 〜第1楽章 / 一ノ瀬 海
05. リスト:「ラ・カンパネラ」 〜パガニーニ大練習曲集 第3曲 / 一ノ瀬 海
06. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 〜第1楽章 / 一ノ瀬 海
07. ショパン:エチュード ハ長調 作品10-1 / 一ノ瀬 海
08. ショパン:エチュード イ短調 作品10-2 / 一ノ瀬 海
09. ショパン:プレリュード 変ニ長調 作品28-15 「雨だれ」 / 一ノ瀬 海
10. ショパン:バラード第1番 ト短調 作品23 / 雨宮修平(ピアノ:高木竜馬)
11. ショパン:エチュード ハ短調 作品10-12 「革命」 / パン・ウェイ(ピアノ:牛牛)
12. ショパン:エチュード 嬰ト短調 作品25-6 / パン・ウェイ(ピアノ:牛牛)
13. ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39 / パン・ウェイ(ピアノ:牛牛)
14. ショパン:エチュード ハ長調 作品10-7 / ソフィ・オルメッソン(ピアノ:ジュリエット・ジュルノー)
15. ショパン:エチュード ヘ長調 作品10-8 / レフ・シマノフスキ(ピアノ:シモン・ネーリング)
16. ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 作品52 / 一ノ瀬 海
17. ショパン:プレリュード ニ短調 作品28-24 / 一ノ瀬 海

今日の深夜から始まるテレビ・アニメ『ピアノの森』

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ファンクラブの会員になっているピアニストの反田恭平さんからオフィシャルのメッセージが届きました。

それによりますと、4月8日(日)24:10よりNHK総合テレビにて反田さんが応援隊長を務めているテレビアニメの『ピアノの森』が放映開始になるそうです。
反田さんは、物語のキーマンであり、そして主人公の一ノ瀬海(カイ)の先生でもある阿字野壮介のピアノ演奏を担当するようです。このアニメは、演奏だけではなく人間ドラマとしてもとても魅力的な内容になっていますので是非ご覧下さいということです。
ピアニストとしては決して恵まれた環境で育ってきたとは言えない反田さんが『のだめカンタービレ』や『ピアノの森』を読んで音楽の世界を自分の中で広げてきたと仰っているように、このアニメをみて昔ピアノを習っていた人がもう一度ピアノにトライしたり、新たにピアノをはじめてみようと思い立つ人が出てきたら嬉しいと思っているようです。

個人的には、あの『蜜蜂と遠雷』ともリンクするような気がして、放映をとても楽しみにしています。

『ピアノの森』オフィシャルHPからプロモーションビデオをコピーさせていただきました。アニメも楽しみですが、反田さんをはじめ世界的な若手ピアニストの方々の素晴らしい演奏にワクワクしています。

羊と鋼の森

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一年に一度だけですが、12月の今頃に家内が弾いているピアノの調律の方がみえます。今日が丁度その日に当たり、私も家にいましたので、絶好の機会と思い作業を見学させていただきました。
夏に読んだ宮下奈都さんの『羊と鋼の森』に感動し、興味津々というか、生まれ変わったら調律師という職業もいいかなと思ったほどでしたので、調律の電話が入った日からこの日を待ちかねていました。
コンサート前にステージ上で調律しているのは見かけますが、間近で目にするのは初めてで、思った通り感動ものでした。ピアノ線とフェルトのハンマーがぎっしりと詰まったまさに森のようなところを掻き分けて、スパナのような物(チューイング・ハンマー)を巧みに左右に振りながら一本一本を調整していくのです。目が皿のようになってスゴ技に見とれていました。相当に音楽的な耳が良くないといけないように思いましたが、単純な私は「羊と鋼の森」の仕事の虜になっていました。生まれ変わったら間違いなく調律師ですね。(^^♪

家内は調律前に音程が少し狂っているみたいと言ってましたが、それほどの腕前ではありませんし、私もその狂いを聴き分けるほどの耳は持ち合わせていませんので、私は勿論のこと家内も調律の効果はよく分かっていないようです。でも我が家のピアニストは、調律後のピアノをボロンボロンと弾き、「いい感じ」と満足そうです。おっと、ピアニストなんてものではなく、ピアノを爪弾いているオバサンでした。うふふ・・・
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『舘野泉 ピアノ・リサイタル ~左手の音楽祭~』

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1月18日(月)~22日(金)のNHK BSプレミアム「クラシック倶楽部」は"世界のピアニストたち"と題するシリーズで、その二日目の19日は『舘野泉ピアノ・リサイタル~左手の音楽祭~』でした。
2014年10月の厚沢部町・旧清和小学校での「清和の丘コンサート」を聴きに行って深い感銘を受けたピアニストですので、放映を楽しみにしていました。吉松 隆の「タピオラ幻景 作品92」、「アイノラ抒情曲~左手のための作品95 モーツアルティーノ」など4曲を演奏していましたが、「清和の丘コンサート」での素敵な情景を思い出して聴き入ってしまいました。
ご自身のエッセイによりますと、お父さんの弘さんはチェリスト、お母さんの光さんはピアニストだったようです。ご両親の北海道での演奏旅行に連れられての初旅が1歳の時で、函館の埠頭で撮った写真があるそうです。「清和の丘コンサート」に7度もお越しになって演奏しているのも、ひとつにはこんな深い縁があってのことなのかも知れません。
今年も「清和の丘コンサート」で舘野さんのピアノを聴くことが出来ればと思い今から楽しみにしています。

写真はいずれもNHK BSプレミアム「クラシック倶楽部」の放映画面を撮影したものです。
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