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仕事関連の学会があって40年ぶりに名古屋へ行ってきました。函館からの名古屋行きの飛行機は1往復しかなく、しかも田舎の悲しさで名古屋に夕方に着いて函館に朝に帰るという、何とも効率の悪いフライト設定のこともあって、2泊3日の旅程ながら学会に1日出席しただけで帰ってきました。
ただ徳川美術館だけにはぜひ行きたいと思っていましたので、中部国際空港に着いてすぐに名鉄の特急に飛び乗り、閉館の1時間少し前に何とか美術館に到着することが出来ました。常設展示室は飛び越して、一番奥にある蓬左文庫館へ直行です。
12月6日までの会期で『国宝 源氏物語絵巻』の4巻19場面の全点を一挙に観ることが出来ます。この絵巻物は12世紀に描かれた現存する最古のもので、3巻15場面を徳川美術館、1巻4場面を東京の五島美術館が所蔵しているそうです。900年の時を経ていますが、4年にわたる修復により極めて良好な状態に復元されており、ため息が出るほどに素晴らしいものでした。いつもとても混雑して待ち時間が出ているそうですが、夕方の閉館時間近くになって観覧者は少なくなりましたので、ゆったりと観ることが出来ました。

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先日のNHKのニュースでも報じられていましたが、絵巻の保存修理の過程で、幼子を抱く光源氏を描いた「柏木三」を透過赤外線で撮影したところ、胸で組まれた幼子の両手は、下絵では源氏に差し伸べる形だったことが分かったそうです。また、源氏の左手は下絵ではかなり下にあったようで、幼子の顔も数回の描き直しのあることが判明したようです。同館の四辻秀紀学芸部長によりますと、「光源氏が父の妃・藤壺と密通した自分の因果におののく複雑な心情が主題なので、薫がほほ笑んで手を伸ばすのは具合が悪い。単純に物語の挿絵として描かれたのではなく、内容を掘り下げようとする絵師の苦心のあとがわかる」とのことですが、なかなか興味深い背景がありそうですね。

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出典 www.nikkei.com

11/26(木) NHK-BSプレミアムで『900年の秘めごと~国宝・源氏物語絵巻~』(午後8時00分~午後9時00分)という番組が放映されるそうです。作家の瀬戸内寂聴さんと画家の山口晃さんが、修理を終えた源氏物語絵巻を見つめ、平安絵師たちが絵筆に込めた情熱に思いをはせ、みやびな世界を堪能するというのが番組の趣旨のようです。