カテゴリ:
千住真理子さんのヴァイオリン・リサイタルを聴いてきました。函館が大好きと仰っていた千住さんが名器ストラディヴァリウス「デュランティ」で奏でる当地でのリサイタルをとても楽しみにしていました。
曲目の前半は昨年お亡くなりになったお母様を想い出すかのようにJ.S.バッハの"アリオーソ"、そしてヘンデルの"涙の流れるままに"で始まりました。教育評論家でエッセイストであったお母様の文子さんも函館が大好きだったようで、今日は会場のどこかで聴いているような気がすると話しておりました。そしてベートーヴェンのソナタ第9番「クロイツェル」。少し会場の湿度が高いような気がしていましたが、さすがに千住さんの手にかかったストラディヴァリウス「デュランティ」からくり出される音は素晴らしかったです。

コンサートで日本の歌曲を演奏することは無かったそうですが、東日本大震災を契機にして積極的に演奏するようにしているとのことで、後半はよく知っている日本の歌曲からスタートです。曲目は成田為三作/千住明編の"浜辺の歌"、越谷達之助作/渡辺俊幸編の"初恋"、岡野貞一作/朝川朋之編の"故郷"です。いずれも編曲が素敵ですので、続く"故郷の人々"や"グリーンスリーブスによる幻想曲"のように世界中で愛される名曲になればいいなと思って聴いていました。
そしてお兄さんの千住明さんがアフガニスタンの子供たちのために作曲した"海を越えた贈り物"、最後は函館の皆さんに是非聴いてほしいというクライスラーの"ウィーン狂詩的小幻想曲"でした。クライスラーは戦争などで国を追われ恵まれない生涯だったようですが、そんなクライスラーの思いが伝わってくるような名演でした。

お母様の文子さんは、『苦しんだり、悲しんだり、嘆いたり、そういう思いの人のために芸術はある』といつも仰っていたそうです。千住さんのヴァイオリンは芸術性が高いことは勿論ですが、なにか優しい響きがするなと感じたのはそのせいなのかもしれません。

senju_omote.jpg