カテゴリ:
「コネヴェツ・カルテット & ユリア・ホタイ」のコンサートを聴いてきました。
サンクトペテルブルクの北方のラドガ湖に浮かぶコネヴェツ島にあるコネヴェツ修道院の聖歌隊で歌っていたペテルブルク音楽院出身の若い団員4人によって設立されカルテットだそうです。そしてソプラノのユリア・ホタイさん、サンクトペテルベルグ国立文化芸術大学出身で世界各地で活躍しているソリストのようです。
第1部は函館少年少女合唱団による可愛い歌声。第2部はカルテットとホタイさんによる「ロシアの修道院の伝統的な聖歌」と題する主としてロシア正教の礼拝で歌われている曲、第3部は「ポピュラーなロシアの歌」としてロシア民謡の数々を歌ってくださいました。
個人的には第2部の聖歌が特に素晴らしいと思いました。ビザンチンに起源を持つ東方系のキリスト教(ギリシャ正教、ロシア正教など)は聖歌をアカペラで歌うのですが、このカルテットも心に沁みいるような深く清らかな正教聖歌を聴かせてくれました。
また第3部の「ポピュラーなロシアの歌」。中学生の頃からロシア民謡が大好きだったものですから、「ポーリュシュカ・ポーレ」、「黒い瞳」など暫く振りに本場のロシア民謡を堪能させていただきました。カルテットの重厚で調和のとれたハーモニーも良かったのですが、ホタイさんのソプラノもさすがに世界トップクラスの歌声で素晴らしいものでした。客席の入りが芳しくなく、もう少し多くの方に聴いて欲しいと感じたコンサートでした。

sc0000_20140923182847cfa.jpg


youtube "Julia Khotay & Konevets Quartet. Воскресни Боже."

余談です・・・。ロシア民謡好きが高じた訳ではありませんが、20歳代前半に生まれて初めて国外に出た先がその当時社会主義国だったソ連でした。ソ連が目的だったわけではなく、ウィーンまで行くのにアエロフロート(ソ連の国営航空会社)が一番安かったからです。新潟からハバロフスクに入り、バイカル湖近くのイルクーツク、オムスクと国内線を乗り継いでモスクワに入りました。東西冷戦のさなかですし、1ドル=360円(固定レート)の時代ですから、それは凄い経験をしたと思っています。時季は今と同じ9月、イリューシンと呼ばれる内装も粗雑な軍用機のような飛行機に揺られて、窓から見える行けども行けども森林と無数の大河ばかりの大地に、とてつもない異国に来たものと思ったものでした。その時、静かに機内にBGMで流れていたのがロシア民謡でした。ロシア民謡って、こんな想像を絶するような大地から生まれた歌なんだと思いましたね。
そして、インツーリストと呼ばれるソ連国営の旅行会社の指示で数日モスクワで過ごし、無事ウィーンに到着したときの『色のある世界へ戻った』という感覚も忘れることは出来ません。40年以上経ってもその時の情景が昨日のことのように鮮明に蘇ってきます。