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宮部みゆきの「荒神」を読み終えました。
時は関が原の合戦から100年後の元禄、今の福島県の山間の仁谷村が一夜にして壊滅状態に陥ることから物語りが始まります。隣り合う永津野藩と香山藩の因縁、奇異な風土病を巡る騒動など不穏な雲行きを背景にこの世のものとは思われない恐ろしいことが起きます。人の心の中にある恨みや憎しみが形になり、人に牙を剥いたものなのか・・・。人としての奢りが災いを招いてしまったものなのか・・・。圧倒的な迫力で読者に迫ってきます。
いみじくも文中に『こうしたことをみんな、誰も悪いと思ってしているのではない。よかれと思ってやっているのだ。わが藩を富ませるため。わが藩の領民のため。大事な家族のため。この地に生きる民を守るため。だから追及すればするほどに、悪事は消えていってしまう。残るのは悲しみと不信ばかりだ』(p552)とあります。現在世界中で起きている戦争や紛争そして人災、とりわけ中東イスラム圏で起きている悲惨な状況や核の脅威などを思わずにはいられませんでした。

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