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今の時季に怪談話はそぐわないかも知れませんが、炬燵開きという今の季節にぴったりのお話から始まる宮部みゆきの「泣き童子」、面白かったです。
神田三島町の袋物屋三島屋を営む伊兵衛・お民叔父夫婦に行儀見習いとして預けられたおちかは、叔父の提案で変わり百物語を語る人を聞き集めます。そんな三島屋変調百物語の三巻目の作品です。
若い娘がおちかと炬燵のなかで、戒めを守らなかった祖母の身に起こった話を語る「魂取の池」、幼い頃に遭った山津波で幼なじみを失った苦しみとその後の不可思議な出来事を語る「くりから御殿」、人の心の中にある悪を見抜いて泣く、哀しくも恐ろしい「泣き童子」、おこぼさん(小法師)の優しさを綴った「小雪舞う日の怪談語り」、村にまつわる不思議な伝統と、危険を顧みず村の危機を救った母の役割を語る「まぐる笛」、二十四節気の日だけ顔が変わる「節気顔」の6編です。どのお話も怖いのですが、日常生活で忘れかけていることを自らに問いかけてくるようないいお話でした。

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