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木内昇の「櫛挽道守(くしひきちもり)」を読み終えました。 
江戸末期の木曽山中の藪原(やぶはら)という宿を舞台に、櫛職人の家に生まれた登瀬という女性の人生を描いた作品です。信州一の名工と呼ばれる父・吾助の櫛挽きの技に幼い頃から魅せられ、父の背を追いつつひたすら櫛挽きの道に励みます。櫛挽きは男の仕事だといわれ、女は結婚して子どもを産むことが幸せだと信じられていた時代、木曽山中の閉鎖された社会に生きる一女性の細やかな心情を通して、人生とは、仕事とは、家族とは・・・それぞれのあり方を丁寧に描いている作品です。

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