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今年は春から雨の日が多かったせいかキノコのオンパレードという感じになっています。
木を切り倒して積んでおいたところからもいろいろなキノコが誕生しています。中でも目につくのが、黒色~褐色を呈するサルノコシカケ科のカワラタケです。見るからに硬くてとても食べられるようなものではありません。キノコの中でも担子菌類と呼ばれるもので、木を腐らせることから木材腐朽菌(ふきゅうきん)とも言われています。
ご存知のように木材の主要成分はセルロースやリグニンですが、これらを分解する役割を担っています。木材腐朽菌の役割は分かれているようで、セルロースを分解するものは、カワラタケのように黒色や褐色になり、他方リグニンを分解するものは白っぽくなるようです。
このように木材腐朽菌がいないと、山は木材で埋め尽くされてしまうことになります。もちろん落ち葉をかみ砕く小動物やカビ、細菌などとの絶妙な連携でリサイクルされていきます。
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6月に夕張の石炭博物館へ行った際に、石炭の起源に興味を持ちました。
教科書的には約2億8千万年前頃の石炭紀に大量に蓄積された大樹木が石炭の原料と言われていますが、その後は量も質も低下していったようで、その原因は何なのか不思議に思っていました。
前述のように白色腐朽菌は、地球上で唯一リグニンを含む木材を完全分解できる生物であり、この白色腐朽菌がリグニン分解能を獲得したのが石炭紀末期頃(約2億9千万年前)と言われています。つまり石炭紀から次のペルム紀にかけて起こった有機炭素貯蔵量の急激な減少は白色腐朽菌のリグニン分解能力の獲得によるものと考えられているそうです。(近年は他説も出ていますが・・・)
カワラタケなどが生えてボロボロになった木は、いくら大量にあっても土に戻るだけで、絶対に石炭にはならないのですね。

私たちの子供のころは、石炭が主要なエネルギー源でしたが、かりに古生代の地球上において大樹木の繁茂と白色腐朽菌が同時に誕生していたら、石炭という物質がそもそも存在しない可能性が高いのですね。石炭がなかったらイギリスの産業革命は起こらなかったでしょうし、その後の歴史は違ったものになっていたかも知れません。

あらためてキノコは偉いというか凄いと思います。(^^♪
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