カテゴリ:
先日のNHK総合「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ」は、「胃」がテーマでした。
毎回好奇心をくすぐるいろいろなテーマを取り上げる好番組ですが、今回は「胃」のしくみや働きについて分かりやすく説明してくださいました。

特に興味を抱いた内容は、沖縄県で胃がんに罹患する人が、全国的なレベルで見て有意に低いということでした。ピロリ菌感染が胃がんの原因であることは明らかですが、感染率では他県と有意差はないそうです。ピロリ菌感染の要因は、幼少期の生水の摂取や親を通じて口を介したものといわれています。団塊の世代では8割程度の人が感染しているようですが、年代が下がるにつれて少しずつ減少傾向にあるようです。
番組の中で大分大学医学部の山岡吉生教授は、沖縄県の人たちが感染しているピロリ菌は、他県の菌とは異なることを指摘していました。具体的には、ピロリ菌は大きく分けて東南アジア型と欧米型があり、胃がん発症に関わるメカニズムが異なるようです。そう言われてみると欧米人の胃がんの罹患率は、アジア人にくらべて低いですね。
ただ、沖縄県の菌型のDNAなどを詳しく調べてみますと、両型とも少し異なっているようで、アフガニスタンやネパールの人たちと近い関係にあることをつきとめたといいます。山岡教授は「ヒマラヤ山脈の北側を経由して沖縄にたどり着いたグループがいた可能性がある」と言っていましたが、がぜん興味が湧く面白い仮説ですね。

そんなピロリ菌ですが、私のかかりつけ医もピロリ菌の研究と内視鏡の名医で知られています。たまたま番組数日前の定期検診で、「macotoさん。10年以上も胃の内視鏡検査を受けていませんので、やってみましょうか」ということで、ピロリ菌検査と胃の内視鏡検査を受けてきました。
10年ほど前に職場検診で血液によるピロリ菌検査を受けていましたが、今回は呼気による検査でした。呼気検査は、錠剤を1錠飲んで20分後に呼気を採取するという簡便なものですし、胃の内視鏡検査も鼻からでしたので楽勝でした。前回までは口からでしたので、こんなつらい検査は受けたくないと思いましたが、今回は本当に何事もないくらい楽でした。

ピロリ菌検査は必須と思いますし、かりにピロリ菌(+)の場合は除菌治療が推奨されます。ただ、除菌が成功したとしても、幼少時からピロリ菌によってダメージを受けた胃粘膜が完全に元に戻ることはありませんし、胃がん罹患の可能性がゼロになるわけではありません。毎年の胃内視鏡検査が必要なことは言うまでもありません。

コロナ禍で検診を受ける方が減少していますが、健やかに過ごすためにも、検診を身近に感じて定期的に受るようにしましょう。
201905011114405089
ポスターは「予防医療普及協会」からお借りしました。